「クラウドらしさ」に高評価
「ベストサービス」編では、企業利用の観点から優れた特徴を備えたサービスと、それを提供するベンダーを選出した。
評価の観点は大きく二つある。一つは「クラウドコンピューティングらしさ」だ。ハードウエアやソフトウエアといったリソースの拡張性、利用の実態に合わせた料金体系および契約形態の柔軟性などだ。
もう一つの観点が、「既存システムからの移行しやすさ」である。利用できるOSやミドルウエアの充実度、サービス運用体制やサービスそのものの信頼性などを評価した。
選出の対象となるのは、2012年1月末時点で顧客に提供可能なサービスと機能である。まずは、IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)やPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)などの、「クラウド基盤サービス」部門からみていこう(関連記事「クラウドサービス総覧 IaaS/PaaS編)」。
同部門では、10社がベストサービスとなった(表1)。アマゾン データ サービス ジャパン、IDCフロンティア、SCSK、NECビッグローブ、NTTコミュニケーションズ、ニフティ、日立製作所、富士通、インターネットイニシアティブ、日本マイクロソフトである。
アマゾンの企業向け強化が奏功
中でも高い評価を得たのが、アマゾンだ。同社は九つの評価項目中、「ハードリソース」や「ソフトリソース」「契約」など8項目で満点を獲得した。
アマゾンが前回調査に比べて評価を高めたのは、「ソフトリソース」「料金」「信頼性」の3項目だ。ソフトリソースとは、クラウドサービスで利用できるOSや仮想化ソフト、データベース、開発言語などの種類の多さを見た項目である。
アマゾンのIaaS「Amazon Web Services(AWS)」では、「VMware」「Xen」「Hyper-V」「Oracle VM」といった主要な仮想化ソフトを使って、仮想マシンを動かすことができる。さらに「VM Import」と呼ぶ機能を使えば、ユーザー企業が自社内で運用する仮想マシンをAWS上へ容易に移行できる。
アマゾンは昨年8月に、VM Importで読み込める仮想マシンの種類を増やしている。既存システムをクラウド上に移行しやすくするこれらの取り組みが、高評価につながったようだ。