「従業員のための、従業員に役立つ人事クラウドサービスを提供する」。こう語るのは、米シルクロードテクノロジーのCEO、アンドリュー・フィリップ・フィリポスキー氏(写真1)。同社は2012年前半にも、新しい人事クラウドサービス「Point」(英語版)の提供を開始する。Pointは、従業員同士の情報交換と「つながり」を支援するソフトサービスである。Pointはどんなサービスなのか。またその裏側にある考え方はどんなものなのか。「企業のソーシャル化」が進む中でPointはどう位置づけられるのか。フィリップ氏に聞いた。

(聞き手は高下 義弘=ITpro)

写真1●米SilkRoad technologyのアンドリュー・フィリップ・フィリポスキーCEO
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以前、フィリップさんはソフト会社の米プラティナムテクノロジー(1999年に米CAテクノロジーズが買収)を経営していました。なぜ今度はクラウド型の人材総合ソフトウエアの会社を立ち上げようと考えたのですか。

 私たちシルクロードテクノロジーの経営チームは、元はプラティナムで一緒に働いていました。プラティナムは従業員が働きやすい会社ということで、外部の組織から受賞した経験があります。

 なぜ当時、私たちの会社が受賞できたのかというと、「従業員を信頼し、従業員が安心して働ける環境を作る」という考え方を徹底していたからです。例えば当時、私たちの会社は「どんな階層の社員であっても、お客様のために必要であればプライベートジェットをチャーターしてもいい」という方針を敷いていました。従業員の平等性を意識して、同性のパートナーと一緒に住んでいる社員にも、扶養者保険が使えるように整えました。

 また、事業計画や会社の現状といったさまざまな情報を、ポータルサイトを通じて誰でも確認できるようにしていました。

 この結果、プラティナムの業績は上がりました。私たち経営チームは「ハッピーな社員はハッピーな顧客を創り出す」、それから「社員が安全で安心な環境の中で働けるようにすることが、結果として企業を強くする」ということを確信するようになりました。

 経営していたプラティナムはその後、CAに売却しました。私たちプラティナムの経営チームは、蓄積してきた自らのノウハウを、人事ソリューションとしてほかの会社にも提供できるようにしようと考えました。そこで設立したのがシルクロードテクノロジーという会社です。

 私たちがたくさんの企業を調査して分かったのが、ほとんどの企業は経営チームや人事部の都合ばかりで人事システムを構築しています。もちろん経営チームや人事部は重要な機能ではありますが、偏っています。ITベンダーは従業員を管理し統制するためのツールを作り、企業は従業員を管理し統制するためにそのようなツールを使っているのです。

 これでは従業員が強くなるわけがありません。そこで私たちは“逆張り”で、従業員のためのツールを用意しよう、と考えました。新しいクラウド型サービスの「SilkRoad Point」は、従業員自身が他の従業員と情報を交換し、価値を認め合い、互いに助け合いながら仕事を進められるような仕組みを備えています。

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