IT分野に押し寄せる仮想化の波は、当初のサーバーやネットワーク機器といったノードレベルから、最近では周辺機器などのデバイスレベルにまで到達し始めている。こうした流れをいち早くとらえ、中小規模の企業をターゲットにした低価格な仮想iSCSIストレージソフト「StorMagic SvSAN」(SvSAN)を開発、2010年末から国内でも販売を始めたのが英ストアマジックである。同社CEOに開発経緯や意気込みなどを聞いた。

(聞き手は斉藤栄太郎=ITpro



英ストアマジックのハンス・オサリバンCEO
[画像のクリックで拡大表示]

SvSAN4.4とはどういうソフトウエアか。

 米VMwareの仮想化ソフト「VMware vSphere」で動作する仮想iSCSIストレージソフトウエアだ。VMware vSphereサーバー上のローカルディスクの空き領域を、仮想的なiSCSIの共有ストレージ領域として利用可能にする。

 VMwareの仮想マシンからは完全に物理的なiSCSIストレージと同等に見える仮想iSCSIストレージを、低価格なIAサーバー用のハードディスクを使って構築できる。ファイバチャネル(FC)などを使った高価な専用ハードウエア型の外部ストレージに手を出しにくい中小規模のユーザーでも手軽にストレージを導入可能になる。

SvSAN4.4の開発を思い立った背景は。

 私は長年この業界でストレージを販売してきた。その経験から、特に中小規模の企業ユーザーがSAN(Storage Area Network)やNAS(Network Attached Storage)などのストレージ導入に二の足を踏む主な要因が二つあることを知っている。それは、「機器導入のコスト」と「管理の手間」の削減だ。

 中小規模ユーザーにとって、専用ハードウエアを使ったSANやNASのストレージは高価で手を出しにくい。また、一般に高価な機器には、実際にはあまり使わない機能が山のように用意されているため、管理者が基本的な使い方を習得するだけでも大変なことも問題となる。とにかく中小ユーザーには時間がない。ユーザーは機器を管理したいのではなく、仕事がしたいのだ。

 低価格で管理の手間がかからない仮想ストレージを開発しようと思い立ったのはこうした理由からだ。SvSAN4.4では、ストレージの専門知識を持つ管理者がいない中小企業でも容易に運用可能になっている。開発には約3年間かかった。

今後のロードマップと日本での販売目標を教えて欲しい。

 開発に3年間かけたこともあり、最新のリリースであるSvSAN4.4の性能や機能には私自身非常に満足している。だが、もちろん開発の手を緩めるつもりはない。詳細はまだ明かせないが、2011年第2四半期(4月~6月)をメドに今後の新製品の投入予定などを記したロードマップを公開する予定だ。日本での販売目標については、2011年末までに2000から3000ユーザーを獲得したいと考えている。