「これからはアフリカや東欧からの海外人材を受け入れていきたい」――。ソフトの受託開発やデータ分析を手掛けるベンチャー企業であるコグラフの森善隆社長CEO(最高経営責任者)は海外人材を活用した強いチームづくりの方向性をこう明かす。同社の開発チームは7割が外国人エンジニアで、高い技術力や英語でのコミュニケーション能力が評判を呼び、日本で事業を展開したい海外企業からの案件がひっきりなしに舞い込む。

コグラフの開発現場
コグラフの開発現場
(出所:コグラフ)
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 海外人材が7割を占めるようなったのは、森社長の経歴によるところが大きい。森社長は起業前、国内独立系ソフトハウスや大手インターネットサービス企業で外国人エンジニアと一緒に開発作業に従事してきた。その経験から「今で言えば人工知能(AI)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)といった新しい技術分野の案件をこなすには、日本人エンジニアにこだわる意味はない」との思いに至り、技術力のあるエンジニアを海外から広く採用して強いチームづくりに注力している。

外国人エンジニアを孤独にさせない

 外国人エンジニアの採用の工夫を森社長は「スピード感」と「複数人の一括採用」と明かす。5年前の話だ。当時は「東京にあるIT企業で外国人エンジニアを積極的に採用していたのは数社程度だった」(森社長)。うち1社は「誰もが知る著名なIT企業」(同)だが、面接が6回もあり、採用までに1カ月を要していたという。

 「優秀なエンジニアは引く手あまたなので、すぐに決めなければ次に移ってしまう」。他社の動向も見るまでもなくそう感じていた森社長はスピード優先の選考プロセスを整えた。応募があればすぐに森社長自身がスカイプで面接して、いくつかのテーマを与えてコーディングスキルを精査し、優秀と判断すれば即採用するようにした。

 2つ目の工夫の一括採用は、日本に馴染みの薄い国から優秀なエンジニアを採用する場合に奏功する。現在、コグラフには、「アフリカの奇跡」と呼ばれ国を挙げてIT活用が進むルワンダ出身のエンジニアが在籍している。米国や西欧諸国、中国、インドといった国々から来日すると、日本に各国のコミュニティーがあり、同郷同士のコミュニケーションに事欠かない。だが「ルワンダではそうはいかない。やはり、同郷の人が会社にいると心強い」(同)。そこで、そうした国からの採用では2人以上を同時に採用しているという。

 森社長は強いチームづくりに向け、これまで米国や西欧中心だった採用地域を拡大することを検討中だ。具体的には東欧とアフリカだ。日本での採用がまだ少なく、優秀な人材が残っているという見立てだ。とりわけ「ポーランドは競技プログラミングの『TopCoder』で上位に入るエンジニアも多く、国として技術力が高い」(森社長)とみて、積極的に採用する意向だ。

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