2016年4月に連載を開始した「日本を復活させるB2Bマーケティング」は、今回が最終回です。この3年のうちに、日本のBtoB企業はマーケティングを強化できたのでしょうか。そして日本経済は復活したのでしょうか。
最終回となった今回は連載を振り返りながら、日本企業のB2Bマーケティングの発展について整理します。最後にこれからのB2Bマーケティングについても考察しようと思います。
「マーケティングのデジタル化」が定着した
この連載を始めるとき私は、「デジタルマーケティング」ではなく「B2Bマーケティングそのもの」を考えて原稿を書くという方針を決めました。2016年当時、B2B企業の多くには「デジタルマーケティングツールを入れただけで現場を改善できる」という幻想があるように感じたからです。
2016年当時は、日本のB2B企業にAccount Based Marketing(ABM)手法が広がり出した状況にあり、先進的なB2B企業ではABMのためのソリューションを導入し始めていました。さらにはData Management Platform(DMP)の導入例も話題になっていました。
ただしABMソリューションやDMPの導入は、マーケティング活動を成功に導く手段に過ぎません。マーケティング活動そのものは、マーケターが改善するものです。しかもB2B企業の規模は幅が広く、全ての企業がデジタルマーケティングのソリューションを導入できるわけではありません。
そこでこの連載では、どの企業にも当てはまるであろうWebアクセス分析などの基本的な課題を中心に述べることにしました。そしてマーケティングのソリューションにはあまり深入りしないように心がけてきました。
連載の中で私は、「マーケティングのデジタル化」という言葉を何度も使っています。当たり前の表現であり、誰が言い出したわけでもありませんが、マーケティング業務でのデジタル活用がどの組織にも欠かせないことを訴えるのに最適な言葉であると考えました。
さらにマーケティングをデジタル化するためには、既存のマーケティング活動を見直すべきいう思いも込めています。「マーケティングのデジタル化」こそ企業が最優先で取るべきアクションであるとして、その活動のヒントになるテーマを扱ってきました。