4年あまりお世話になったITproから引っ越し、今週からITproマーケティングで記事を書くことになった。今まではITproであることを意識して、マーケティング方面に寄り過ぎたテーマは、(あれでも)あえて書かずにいたことが少なからずあった。しかし今後は、マーケティング成分をより多めにしていこうと考えている。

 その最初のテーマとして、デジタルマーケティングを“人材”という観点から見ていこうと思う。これまで、企業がデジタルマーケティングを推進するにあたって「専門の組織を構築する必要がある」あるいは「専門性の高い人材を登用すべきである」といった内容が語られて久しい。とはいえ、実際には米国でも一部の先進的な企業を除き、なかなかそういった動きにならなかった。ようやくこの2~3年で、その状況に変化が見られるようになってきた。

 米人材コンサルティング企業ロバート・ハーフの関連会社の調査を見ると、少なくとも米国では、デジタルマーケティングの各分野で高い専門性を持つ人たちが、2015年は売り手市場にあるといってよい状況にあるという。

 中でも求められているのは、モバイル方面のフロントエンドウェブデベロッパーやウェブデザイナー、そしてUXデザイナーだ。昨今、Webサイトのスマートフォン対応や利便性の確保は、“あったらいいもの”から“無いと困るもの”となっている。ところが、その分野で高い専門性を持つ人材は、まだ少ない。

 そういった状況もあり、経験の豊富な(5年以上)UXデザイナーの給与相場は、現在8万7750ドル(約1080万円)から12万8000ドル(約1570万円)と、非常に高いものになっている(これは全米平均であり、大都市部になると、最大でさらに40%程度高くなる)。

 続いて求められているのがコンテンツストラテジスト。コンテンツマーケティングが盛んに展開されるようになったことで、自社が世に出すコンテンツを質、量、タイミング、チャネルなど、様々な面からきちんとコントロールできる人材が求められている。

 ここで重要なのは単にコンテンツの企画力だけではなく、SEO(検索エンジン最適化)やSEM(検索エンジンマーケティング)、そしてソーシャルメディアに関するスキルが必須の要素として考えられている点だ。ソーシャルメディアが、それ自体を単体として機能させる方向から、コンテンツマーケティングにおけるチャネルの一部へと位置付けられるにつれ、この傾向はより強くなってくると考えられる。

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