毎年2月と8月の2回、米デューク大が全米マーケティング協会や米デロイトと共同で『The CMO Survey』と題した調査結果を公開している。この調査は2008年から、あまり調査内容を大きく変化させることなく続いている。過去の調査結果を見比べていくと、過去約10年間の米国企業であったマーケティング活動の方向性や勢いを定点観測できる。
2017年の8月末に、同調査の最新版(2017年8月版)が、予定通り発表された。
同調査の範囲は「マーケターが見る市場動向」「業界・企業の成長性」「マーケティング予算」「マーケティング組織」といった、いわゆる概略的なものにとどまらない。「ソーシャルメディア」「モバイル」「データ活用」といった、2008年頃からマーケティングの世界で何らかの形でピックアップされるトピックに関わる調査結果も盛り込んでいる。
とすると、読み込むべき要素には、これらのトピックに関する質問とその回答だけではなく、割かれているページ数なども含まれてくる。サーベイ全体のテーマ、つまり米国企業のマーケティング活動におけるトレンドの一端が見えてくる。
大量の調査結果から、今回筆者が注目ポイントから読み解いたのは、以下の4点だ。
1. ソーシャルメディアは見切りをつけられつつある
- 5年前「ソーシャルメディア関連費用」は、マーケティング予算の約20%を占めるという予測が合ったが、現実にはこれを大幅に下回り現在は10%程度となっている。しかも、今年に入ってからは減少傾向にある
- 自社のソーシャルメディア活動の、企業のパフォーマンスに対する貢献度も、依然として7段階中3程度の評価で推移している。その大きな理由は「効果が見えない」というもので、これも約3年間変わっていない
2. モバイルは未だ伸び悩んでいる状態が続いている
- 自社のモバイル関連施策の、企業のパフォーマンスに対する貢献度は、実はソーシャルメディアよりも低い(7段階中2.6)
- 今後3年間で、モバイル関連施策の費用がマーケティング予算に占める割合は、さらに増えることが予想される。しかし「カスタマーエンゲージメント」や「ブランディング」では一定の効果をもたらすと考えられているものの、実際の収益にどう結び付けるかという決め手を欠いている