筆者が所属するNTTコミュニケーションズはSalesforceから始まり、Box、Microsoft Azure、Office 365、Dynamics 365、Oracle Cloud、cybozu.comといったSaaS/PaaSとの接続サービスを10年以上提供しており、様々なトラブルを経験している。そのなかから代表的な事例と対策を紹介しよう。

 最初に紹介するのは、NAPTのセッション数によるトラブルだ。

 Office 365の特徴はセッションの消費が膨大なことだ。例えばExchange上のスケジューラーは、1ユーザーのスケジュールを表示すると1セッションを消費し、それを保持し続ける。

 さらに、あるユーザーが他のユーザーのスケジュールを表示すると、別のセッションが使われる。例えばAさんが、BさんとCさんのスケジュールを表示すると、Aさんは2セッションを消費することになる。

 アプリケーションの利用状況にもよるが、Office 365全体では1ユーザー当たり30~40セッションを消費する。1個のグローバルIPアドレスで保持できるポート数は約6万5000個であり、セッションとポートは同じ数が必要となる。従ってグローバルIPアドレス1個で収容できるのは約2000ユーザーとなる。ユーザー数が2000人を超える場合は、グローバルIPアドレスを複数用意しなければならない。

大量のセッション数を消費するOffice 365
大量のセッション数を消費するOffice 365
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 パターンA、Bであれば、セッション数を事前に見積もることが必須だ。パターンCのように拠点ごとにグローバルIPアドレスを割り当てる場合でも、拠点の規模が大きければ考慮する必要がある。

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