Office 365を導入するうえで大きな課題は、既存のネットワークの帯域を圧迫し、インターネットが快適に利用できなくなることだ。その対策として効果的なのは、Office 365とのトラフィックの「迂回路」を設けることである。迂回路の構築方法には大きく分けて三つのパターンがある。それぞれのメリットやデメリット、構築や運用のポイントを順に見ていこう。

Office 365との接続形態
Office 365との接続形態
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 パターンAは、Office 365との通信とそれ以外のインターネットとの通信を分離することで、インターネット回線の圧迫を回避する方法だ。

専用のゲートウエイとインターネット回線を増設
専用のゲートウエイとインターネット回線を増設
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 具体的には、既存のプロキシサーバーやファイアウオールの手前に専用のゲートウエイ(GW)を設置してトラフィックを分離する。ゲートウエイには、アプリケーションごとにトラフィックを識別して経路制御する「ADC(Application Delivery Controller)」という装置を利用する。プロキシサーバーをゲートウエイにする方法もある。プロキシサーバーを2段構成にして、1段目のプロキシサーバーでOffice 365のトラフィックを分離する。この方式は既存のネットワーク構成の変更が少ないことが大きなメリットである。

 ただし、インターネット回線の圧迫は回避できても、WAN回線の圧迫という問題はクリアできない。このため、Office 365とのトラフィックの予測や運用開始後の継続的なモニタリングにより、Office 365以外のインターネットや社内システムとの通信を圧迫していないかを確認しなければならない。そのうえで、場合によってはWAN回線の増速などの対策が必要となる。

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