個人へのインパクトを最大にする
統合化された使いやすいツールと,最新のワーク・プロダクトを通じて,従業員の自立度と効率を高めることが目的である。Office 12には,新しい「results-oriented(結果指向型)」ユーザー・インターフェース,「Office Online」コミュニティとリソースへの統合アクセス,それにフィードバックに基づき定期的に更新されるオンライン学習ツールといったものが盛り込まれる。
またOffice 12は,よりスピーディな文書作成を目的として,カスタマイズ可能な構成済みレイアウトやスライド・ライブラリを提供する。これらのライブラリは新しい「Reuse」タスク・ペインに表示され,自分で作成したものをローカルか「SharePoint」経由で保存できる。移動中のユーザーは,オフラインでSharePoint文書ライブラリ,連絡先,カレンダやタスク・リストが利用可能だ。また,Office 12は,Longhornの「Fast Search」テクノロジを土台にするため,Officeアプリケーション内からの素早い電子メール機能や検索機能も提供する。
新しい「Outlook 12」では,スケジュールとタスクの両方を同時に見られるといった大幅に改善されたカレンダ機能が提供される。また,タスクにはついに時間を割り当てることが可能になり,カレンダに直接適用できるようになる。電子メール表示では,ユーザーがメールのメッセージから直接タスクを作成できて,またそれらのタスクを「To Do」タスク・ペインで閲覧できる。
またOffice 12は,テキストをグラフィックに変換できる新しいツールのおかげで視覚的に華々しいものになっている。発想としては,Officeアプリケーション内で実際のテキストをフォーマットする感覚で,テキスト・ベースのグラフィックを再フォーマットできる。加えて「Mac:Office」が長年提供してきたような高画質のチャートやグラフ,それに図などが,ついに盛り込まれることになっている。
コラボレーション機能を統合
Office 12はマルチ・パーティ・オーディオ,ビデオ,データ・コラボレーションを,テレフォニ,Web会議,在籍管理,インスタント・メッセージング(IM)といった様々な統合テクノロジを通じてサポートする。さらに「AOL」や「Yahoo!」を含む一般IMネットワークへの,安全な信頼できるアクセスをサポートする。
頻繁に会議のあるユーザーに対しては,Office 12が共有のメモ取り機能,会議のレコーディング機能,会議後の検索機能をサポートする。
Excelサーバーついに登場
新しい「Excel」サーバー製品は,スプレッド・シートやレポートの集中管理や発行を可能にする。
サーバーはクライアント側のソリューションでは不可能なパフォーマンス,拡張性,セキュリティ性能を提供し,Excelスプレッド・シートをバックエンドのデータ・ソースに連結させることも容易になる。ExcelクライアントはWebサービスを通じてサーバー側のスプレッド・シートにアクセス可能となり,またXMLベースのワークブック全体を読み出すことも可能だ。これに加えて,Webブラウザ経由でサーバー側スプレッド・シートのExcel機能のほとんどを使用することもできる。「Excel 12」は新しい検索ツールや分析ツール,さらには条件付きフォーマットやピボット・テーブル機能を盛り込んでいる。
新しいイントラネット・ベースの「Report Center」では,サーバー側のExcelスプレッド・シート内に保存されてもの含む,バックエンド・データをベースにしたレポートを作成したり,閲覧したりが可能な,SharePointのようなダッシュボードが提供される。
Webとデータベースを駆使して仕事ができる
「FrontPage 12」は,外部ソースからユーザーのWebアプリケーションへのデータの統合をさらに手軽にする。またFrontPage 12は,カスタマイズされたアプリケーション・ワークフロー,Webフォーム,データ表示を構築する能力を提供する。
「Access 12」では,FrontPage 12やExcel 12のように,外部データ・ソースのデータに簡単にアクセスできるようになる。さらに豊かなデータ分析,頑強なレポートやフォーム,それに新テンプレートがAccess 12で提供され,立ち上げから実行までより楽になっている。
「InfoPath 12」には,サーバー・サイド・フォームの能力,「Visual Studio」ベースの開発ツール,インフォメーション・ワーカー向けに大幅改良された「Designer」,Outlookとの大規模な統合を目玉とする新しいInfoPathクライアント,権限管理サポート,改善されたオフライン機能――など,かなりの改良が加えられている。
XP SP2,Longhorn,x64で動く
Office 12は,Service Pack 2(SP2)以降の「Windows XP」か,次期Windowsクライアント「Longhorn」(開発コード名)で動作する。サーバー・コンポーネントには「Windows Server 2003」以降が必要で,もしかすると「SQL Server 2000」以降が要求事項になるかも知れない。Office 12はネイティブで,x64プラットフォームをサポートするが,このサポートが最初のリリース時にパッケージとして提供されるのか,それとも個別アドオンとして後日リリースされるのかはまだ分からない。
まだ結論は早い…
どう見ても,今お伝えできることは多くはない。しかし,Office 12が実を結ぶまでに,こんなに長い時間がかかるとは驚きだ。Longhornと一緒にOffice 12を出荷するんだ,という内部からの圧力が相当あるに違いない。また言うまでもなく,Office 2003はMicrosoftが望んでいたような,楽な成功を収められなかった。しかし,そういったことにかかわらず,Officeは常に高品質の製品であったし,Office 12がその中でも最高のバージョンになると考えて間違いはないだろう。いま私たちが心配しなければならないのは,どれくらい待たされるのかということだけだ。
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