会見するビル・モロー社長
(撮影:小林 伸)

 ボーダフォンは7月12日,今後の事業戦略について説明する会長・社長会見を開催。ビル・モロー社長は,「携帯電話を『メッセージング・デバイス』と位置付け,今までになかったような新端末,新サービスを投入する」と今後の方針を説明した(写真)。なお売上高や加入者などの数字目標は,「一切公表しない」(津田志郎会長)という方針。

 津田会長は現在ボーダフォンが置かれる状況を「6月に純増に回復したが,上位2社とは依然大きく水を空けられている。端末や料金サービスも不十分。総合力が弱まっていると言わざるを得ない」と分析。次いでモロー社長が,この状況の脱却を目指した事業戦略の概要を発表した。

 個人向けは,家族や友達といった“小さなコミュニティ”内のコミュニケーションに注力。「メッセージング」をキーワードに新端末や新サービスを投入するとした。法人向けは,メインは中堅企業向けを中心にシェア拡大を目指す。さらにMVNO(仮想移動通信事業者)への卸売事業への進出を公表した。津田会長によると「音声通話を含む場合もありうる」。

 ネットワーク戦略としては,3Gネットワークのエリア/容量拡大,マルチアクセス,FMC(fixed mobile convergence)を挙げた。マルチアクセスとは,3G以外にも無線LANやWiMAX,ADSL(asymmetric digital subscriber line)といった複数のアクセス回線を利用できるようにすること。KDDIが公表した「ウルトラ3G」構想にも含まれるコンセプトで,新規参入を目指すイー・アクセスも同様の使い方を検討している(関連記事1),(関連記事2)。ただし「検討を開始したばかり。具体的な導入時期は未定」(モロー社長)。

 マルチアクセスやFMCでは固定通信事業者の協力が必須だが,「固定事業者を買収することは考えていない。協力関係で進めていくことになるだろう」(モロー社長)。なおKDDIが対応を表明したことで注目を集めるFeliCaには,今秋に対応端末をリリースすると明らかにした。