写真1:信頼度試験室 |
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ここには部品単体や製品を試験するための,ありとあらゆる設備がそろっていると言っていい。電子顕微鏡,金属顕微鏡,X線分析装置,ガス腐食試験装置,熱/衝撃試験装置,低温対応型恒温槽,温度サイクル試験装置--などの装置がひしめいていた。
日立製作所生産統括本部生産統括部の中村洋三部長は,「部品の受け入れ検査はきっちりやる。それでも出てきた部品不良は自分たちで解析し,原因を突き止めてからメーカーに持ち込んで直してもらう」という徹底ぶりだ(写真2)。メーカー任せにせず,自ら原因を解析することで,改修までの期間を短くできる。ただ送り返すだけでは満足な回答は得られない。
室内にはファンが回る音が鳴り響いている。「ファンは壊れるまで回し続ける。モニタやLEDは50℃の中で止まるまで動かしている」(日立製作所生産統括本部生産技術部の片山薫GL主任技師)という(写真3)。動かなくなったら電子顕微鏡やX線解析装置を使って原因を確認する。
写真3:試験中の機器群
日立製作所生産統括本部生産統括部の中村洋三部長は「我々が部品のサプライヤを育てているようなもの。品質を確保するという熱意は当工場の文化として残っている」と語った。
神奈川工場にルーターなどの製造を委託するアラクサラネットワークスの島貫猛・統括マネージャは,「今からアラクサラがこれだけの設備を用意しようと思っても難しい。神奈川工場がメインフレームを扱っていた経緯があり,これだけの設備が揃っているからこそ,現在の品質を実現できる」と説明する(写真4)。
写真4:アラクサラネットワークスの島貫統括マネージャ
基幹系ルーター/スイッチの市場シェアの大半は米シスコシステムズをはじめとする外資系メーカーが押さえている。アラクサラネットワークスは高信頼性を武器に市場シェア獲得を狙う。ただ,重厚な品質確保体制を築けばその分,コスト高になってしまう。だがアラクサラ製品の価格は競合製品に引けを取らない。高信頼性と低価格を両輪に国産メーカーであるアラクサラネットワークスがどこまで海外勢のシェアを切り崩せるのかに注目したい。