総務省は9月6日,今年度の通信サービスの競争評価について方針を発表した。同省は2003年度から通信事業者が提供するサービスについて,市場の分類と分析・評価に取り組んでいる。評価の結果が政策にすぐさま反映するわけではないが,規制の強化や緩和を検討する際の重要な指針となる。

 2年目となる2004年度の大きな変更点は,「移動体通信」と「IP電話」を追加したことである。移動体通信には,携帯電話,PHSから無線LANアクセス・サービスまで含まれている。追加した2分野でも,特に移動体通信での注目度が高まりそうだ。

 同日ソフトバンクBBの孫正義社長が携帯電話サービスへの参入を表明。総務省が示した,NTTドコモ・グループとKDDIグループといった既存事業者への800MHz帯の電波割り当て方針を激しく非難している。孫社長は総務省に,電波の割り当て基準の明確化や同社への800MHz帯の電波割り当てを求めている。

 総務省は,携帯電話の事業者から幅広い情報を収集し,評価を実施する考えである。具体的には,(1)契約数,(2)基地局数,(3)料金,(4)売上高,(5)販売代理店,(6)端末の仕様,(7)インターネット接続サービス,(8)ネットワーク構成,(9)事業者間のネットワーク接続などの取引,(10)仮想移動通信事業者(MVNO)のサービス--などである。

 これらの最終的な項目や収集方法はパブリック・コメントや事業者との意見交換で詰めていく。評価結果はソフトバンクなどの新規参入の是非を問ううえで,重要な指標となり得る。

 なお2003年度は,インターネット接続とデータ通信サービスについて重点的な調査を実施した。インターネット接続では,ADSL(asymmetric digital subscriber line),FTTH(fiber to the home)。データ通信サービスでは,IP-VPNや広域イーサネットなど企業向け通信サービスを重点的に調査している。これらの項目は,2004年度も引き続き調査の対象とする。

 総務省は事業者から集めたデータを来年1月に公開。3月末にサービスや市場の評価案を公表する予定である。その後,パブリック・コメントで意見を募集。最終的な評価を確定させる。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション



モバイル・ソリューションの実務情報は「ケータイ on Business」