ソフトバンクBB(SBB)は9月6日,総務省に対して「電波行政が不公平」とする意見書を提出。都内で記者会見を実施した(写真)。これは総務省が8月6日に公開した第3世代(3G)移動通信システム「IMT-2000」で利用する800MHz帯の割り当て基本方針案に対するもの。同案では既存の携帯電話事業者に割り当てることを基本方針としている。

 現在,800MHz帯はNTTドコモとKDDIが,PDC(personal digital cellular)やcdmaOneなど第2世代(2G)の通信方式による携帯電話サービスを提供中。総務省は,これらを順次3Gサービスに移行させることなどを目的として,2012年をめどに周波数を再編する方針を発表。8月6日に公開した方針案では,800MHz帯についてはNTTドコモとKDDIが今後も3Gサービスを提供できるよう,周波数帯を割り当てることを基本方針案とした。

 この方針案に対して,かねてから携帯電話参入を表明していたソフトバンクが反発。「既にサービスを始めている事業者に,また周波数を割り当てるのは不公平」(孫社長)とかみついた。既存の携帯電話事業者の利用実態を指摘し,「KDDIの3Gサービスは800MHzが中心で,2GHz帯をほとんど使っていない。それでも,追加で割り当てを受けられるのはおかしい」(同)。

 総務省が割り当て方針案を決めた過程にも言及。「どのような基準で割り当てを決めているのか見えない」(孫社長)と主張した。割り当て要求と併せて「議論の透明性を確保するために,情報通信審議会のメンバーの選定理由などもオープンにすべき」との意見も出した。

 さらに孫社長は,「天下りができないから割り当てを受けられないのはおかしい」として,ソフトバンク・グループに在籍する総務省出身の社員を実名で公表。「ソフトバンクは100年は天下りを絶対に許可しない」とまで宣言した。

 総務省の方針案に対するパブリック・コメントは本日締め切られたが,SBBは同社のADSLサービス「Yahoo! BB」会員向けに意見を喚起するコメントを呼びかけたり,大手新聞紙に意見広告を大々的に掲載するなどした。

 ソフトバンクは今年3月にも,IMT-2000で利用する2GHz帯の周波数の割り当てを申請した。だが総務省は,NTTドコモ,KDDI,ボーダフォンの既存の携帯電話事業者3社に割り当てることを基本方針とし,ソフトバンクの申請を却下した経緯がある。



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