サン・マイクロシステムズと日本ネットスケープ・コミュニケーションズのミドルウエア事業を統合した仮想企業「iPlanet E-コマース・ソリューションズ・ジャパン(http://jp.iplanet.com/)」は,Webアプリケーション・サーバー「iPlanet Application Server(iAS)」の製品化計画を明らかにした。

 まず,新バージョンの「iAS6.0 Enterprise Edition」を7月2日から出荷する。サーバー用Javaの標準仕様「Java2 Platform,Enterprise Edition(J2EE)1.2」に完全に準拠していることが特徴。サーブレット2.2,JSP(Javaサーバー・ページズ)1.1,EJB(Enterprise JavaBeans)1.1といったAPIを使って開発されたJavaアプリケーションを実行できる。

 iASの母体となった2製品,サンの「NetDynamics5.x」およびネットスケープの「Netscape Application Server4.0」向けに開発されたアプリケーションを実行するためのAPIも装備した。NetDynamics5.xとNetscape Application Server4.0のユーザーは,iASへの移行が容易になる。「これにより,1999年3月にサンとネットスケープの協業を発表した際にユーザーと交わした約束を果たすことができた」(米サンのスチュワート・C・ウェルズiPlanet製品担当上級副社長)。

 続いてiPlanetは,2001年内にiAS6.0 Enterprise Editionの派生製品,2002年に次期版などを投入する。まず2001年第3四半期に,iASの低価格版「iAS6.0 Standard Edition」を出荷する。J2EE準拠ではなく,Webサーバー・ソフトにJavaサーブレットとJSPの実行機能を追加した製品である。続いて同第4四半期に,最上位製品の「iAS6.0 Enterprise Pro Edition」を出荷する。J2EEに完全準拠し,ビジネス・プロセス管理,メインフレーム・システムとの接続,ワークフロー管理といった機能を装備する。

 さらにiPlanetは,2002年第1四半期にiAS6.0の機能強化版「iAS6.1」を出荷する。米サンが2001年8月に発表する見込みのJ2EEの新版「J2EE1.3」の一部機能(メッセージ・ドリブン・ビーンとJavaコネクタ・アーキテクチャ)に対応する。これに続いて2002年第2四半期に,J2EE1.3に完全準拠した次期バージョン「iAS7.0」を製品化する計画である。J2EE1.3は,J2EE1.2ではあいまいになっていた仕様を厳密に規定するもので,J2EE1.3に準拠したWebアプリケーション・サーバーの間ではアプリケーションの互換性が保証される。

 2001年7月2日に出荷するiAS6.0 Enterprise Editionは,従来製品に比べ最大で約60%価格を下げた。J2EEの主要部分に機能を限定した「Entry License」が1プロセサ当たり90万円,J2EEの全機能を使える「Base License」が同190万円,Base Licenseに負荷分散機能とフェイルオーバー機能を追加した「Cluster License」が同290万円である。稼働OSはSolaris2.6および8(SPARC版)とWindows NT4.0。

 同時に,iAS6.0とSAPジャパンのERPパッケージ(統合業務パッケージ)「R/3」,日本IBMのトランザクション処理モニター「CICS」,BEAシステムズのトランザクション処理モニター「Tuxedo」を連携させるためのソフトウエア「iPlanet Application Server Enterprise Connector」も出荷する。

中村 正弘=日経コンピュータ

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