ソフトウエア開発ツール大手のボーランド(http://www.borland.co.jp/)は,Linux向けでは初めての本格的なビジュアル開発ツール「Borland Kylix(カイリックス)」を正式に発表した。5月18日から出荷する。

 KylixはWindows向けのビジュアル開発ツール「Delphi」をLinuxに移植した製品。これまでDelphiを使っていた開発者は開発スキルをそのままLinux用アプリケーションの開発に生かせる。このためKylixは,1999年9月に米ボーランド(当時の社名はインプライズ)が開発意向を表明して以来,Linux技術者とWindows技術者の双方から正式出荷を待望されていた。Delphiを使っている開発者は全世界で100万人と言われている。ただし,KylixとDelphiではビジュアル部品の仕様が異なるため,Delphiで開発したWindows用アプリケーションを修正なしでLinuxに移植することは現時点ではできない。

 Kylixは,標準版の「Desktop Developer」と,標準版にWebアプリケーション開発機能などを追加したサーバー版「Server Developer」がある。標準版のDesktop Developerは,クライアントでアプリケーション,サーバーでRDB(リレーショナル・データベース)を動かすクライアント/サーバー型システムを開発できる。サーバー版のServer Developerは,オープン・ソースのWebサーバー「Apache」を使うアプリケーションを開発できる。

 ボーランドは,Kylixの標準版およびサーバー版を標準版は12万円(9月20日までは6万8000円),サーバー版は24万円。動作を確認したLinuxディストリビューションは,レッドハットの「Red Hat Linux7J」とターボリナックスジャパンの「Turbolinux Workstation日本語版6.0」である。

中村 正弘=日経コンピュータ

◎IT Pro注:関連記事
Kylix日本語ベータ・テスターの500人枠は8時間で満杯に,500人を追加募集へ
米BorlandがKylixを正式出荷開始,日本語版は5月出荷か?