米IBMは,ニューヨーク証券取引所(NYSE)が導入する新しい受注管理とメッセージング・システムとメッセージング・システムにIBM製品が採用されたことを発表した。同社が米国時間12月14日に明らかにした。

 同証券取引所のコンピュータと通信ネットワークの開発と運用を行なう技術パートナのSIAC(Securities Industry Automation Corporation)は,ダウンタイムが事実上ゼロの新しい受注管理システム「NYSE TradeWorks」に,IBM社のコンピュータ,インフラ・ソフトウエア,エンジニアリング技術の採用を決定した。

 また,NYSEは,IBM社から3000台の携帯デバイスの購入して次世代の受注処理システムに移行する。携帯デバイスは,IBM Engineering & Technology Servicesによってカスタマイズ設計されたものであり,証券取り引きを行なうブローカは,無線ネットワークに接続して売り買いの注文が出せるようになる。IBM社のWebSphereインフラ・ソフト,DB2データ管理ソフト,Tivoli 管理ソフトは,TradeWorksのバックエンド・エンジンとしての役割を果たし,高い信頼性を持って大量のトランザクションを処理する。DB2バックエンドは,zOSを搭載するIBMメインフレームで稼動する。

 携帯デバイスに加え,IBM社は高解像度,低消費電力で接続部分の冗長化を図ったLinuxをベースとするカスタムのワークステーションも納入する。

 IBM社は,NYSE TradeWorks導入に伴う両社の共同作業は,Javaベース・アプリケーション環境の過去最大の試験になるとしている。

 NYSEは,2750企業が上場する世界最大級の証券取引所であり,1日に平均160億件の取り引きが行われている。ブローカーが1日に送受信するメッセージの数は,過去2年間で200%増加しており,平均7万5000件に達している。

 NYSEは,高い信頼性と可用性を求めており,予測できない突然の取り引き急増やハード,ソフトの障害に対応するとともに,1秒未満のレスポンス時間を目標としている。

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