米IBMが米国時間5月13日に,新型メインフレーム・サーバー「eServer zSeries 990(z990)」を発表した。IBM社では同サーバーを,「eServer z900で採用した革新的技術をベースにした,eServer製品系列の新フラグシップ・サーバー」と説明する。

 同社によると,z990はz900に比べ仮想化能力を2倍,処理能力を3倍近くに強化し,「当社が40年間手がけてきたメインフレーム製品のなかで最も強力かつ拡張性が高いサーバー」という。新たにビルディング・ブロック設計を採用したことで,システムを停止することなく機能の追加が可能になった。「製品構成を大幅に簡素化したので,メインフレーム製品の種類をこれまでの42モデルから4モデルに減らすことができた」(同社)

 z990の主な特徴は以下の通り。

・32プロセサ構成時の演算能力は最高9000MIPS。この値をz900と比較すると,プロセサ数は2倍,システムとしての能力は3倍近くに相当する。z990の対応プロセサ数は1個から32個で,システムを停止せず構成を変更できる

・メモリー容量は最大256Gバイトで,z900の4倍。I/Oチャンネル数は最大512チャンネルで,2倍

・z900の2倍に当たる最高30個の論理パーティション(LPAR)に対応可能なため,1台で数100から数1000の仮想Linuxサーバーを運用できる

・1台で1日4億5000万トランザクションを処理できる。クラスタ構成時には1日130億トランザクションに対応可能で,「ニューヨーク証券取引所の1週間の処理量を上回る」(IBM社)

・16ウエイ構成時に,毎秒1万1000トランザクションのSSLプロセスを処理できる。これは同構成のz900に比べ57%増えている

・あらかじめ設定した処理の優先度とその時々の負荷の変化に応じ,システム・リソースを動的に分配する「Intelligent Resource Director(IRD)」技術を採用

・クラスタ構成時のzSeriesサーバーの可用性は最高99.999%で,停止時間は1年間に5分未満となる

・必要とする処理能力の増減に応じ,システムを停止せず増強または削減できる「On/Off Capacity on Demand」機能を採用

 z990のモデル「A08」と「B16」は2003年6月16日に,「C24」と「D32」は2003年10月31日に利用可能とする。On/Off Capacity on Demand機能は2003年9月より,暗号化処理,30個のLPAR,512 I/Oチャネル用z/OSの拡張は2003年10月より利用できる。

 また同社は同日,IBM Global Servicesがz990をオンデマンドで利用可能とするサービスを始めたと発表した。

 さらに同社は,z990用のオンデマンド・ストレージ「TotalStorage Enterprise Storage Server」(開発コード名は「Shark」)についても明らかにした。業務の要求に応じ,最高7Tバイトまで容量を拡張できる。

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[発表資料(z990)]
[発表資料(TotalStorage Enterprise Storage Server)]