米Cingular Wirelessと米Lucent Technologiesは,第3世代(3G)の携帯電話規格であるUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)サービスの展開に関して4年間契約を締結した。両社が米国時間11月30日に発表した。

 契約は,Cingular社による全米への3Gサービスの展開を目的とするもの。サービスには,UMTS技術の強化版である高速パケット通信技術「HSDPA」(High Speed Downlink Packet Access)の導入も含まれる。また,契約の一部としてCingular社は,Lucent社のマーケティング・プログラム「Lucent Market Advantage Program」(MAP)に参加する。

 Cingular社は,2005年に新しいUMTS/HSDPAネットワークを通じて,加入者に映画のビデオ・クリップ,スポーツ,エンタテイメント・イベント,複数プレーヤ対戦型のビデオ・ゲームの高速ダウンロードといったマルチメディア・サービスを提供できるようになる。企業顧客には,モバイルのブロードバンド・インターネット接続などのサービスを提供する。UMTSネットワークのサービス加入者は,平均400~700Kbpsでデータ受信が可能。デバイスによっては,数Mbpsの受信も可能となる。

 契約により,Lucent社は,Bell Labが開発した無線データ・ネットワーキング機器,ネットワーク管理,アプリケーション・ソフトウエアといった製品をCingular社に提供する。これには,HSDPA技術をサポートするベース・ステーション「Flexent OneBTS」も含まれる。

 HSDPAでは,同一の周波数帯でUMTSと比べてより高い平均データ通信速度を提供しながら6倍の数のユーザーに対応できる。理論上の最大データ通信速度として14.4Mbpsを実現する。

 Lucent社のUMTS機器は,ソフトウエアのアップグレードでHSDPAにも対応する。これらは,1900MHzと850MHzの両方の周波数帯域を使った通信に対応するもので,Cingular社の既存のGSM/GPRS/EDGEネットワークに組み込まれる。Lucent社は,同プロジェクトのためにエンジニアリング,実装,統合,最適化,プログラム管理サービスを提供する。

 AT&T Wireless社買収に加え,最近米Triton PCSと交わした提携により,Cingular社が現在無線サービスを全米50州中49州で提供しており,米国の上位100都市をカバーしている。

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