米Motorolaは,近距離無線通信技術「NFC(Near Field Communications)」と,米MasterCard Internationalの非接触型決済システム「PayPass」を採用した携帯電話の実地試験を,米国で年内に開始する。Motorola社が米国時間10月12日に明らかにしたもの。「携帯電話では各種セキュリティ機能も提供し,ユーザーが携帯電話をリーダーにかざすだけで,安全に支払いを行えるようにする」(Motorola社)。

 NFCは,複数の近距離無線アプリケーションに対応可能なため,将来はバスや鉄道,イベントのチケットといった用途も視野に入れるという。また,NFCとPayPassを備えた携帯電話機は,非接触リーダーの機能も持つため,各種マーケティングやプロモーションに活用できるという。

 Motorola社副社長兼Enterprise Business Development部門担当ディレクタのRon Hamma氏は,「言うならば,財布,キーホルダ,身分証明書を,携帯電話に入れることになる。素早く安全に支払いを行えるため,ユーザーのライフスタイルを変える可能性を秘めている」と説明する。

 また,MasterCard社執行副社長e-Business担当チーフ・オフィサのArt Kranzley氏は次のように述べる。「当社が最近実施した調査によると,消費者は非接触支払いシステムに強い関心を持っていることが分かった。また,携帯電話を選ぶ際も,利便性とユニークな機能に重点を置いている。PayPassを組み込むんだMotorola社の携帯電話によって,これらニーズに応えることができるだろう」(同氏)

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