赤外線通信の標準化団体であるIrDAは2002年12月に,無線を使った至近距離における電子支払い標準として「IrFM(Infrared Financial Messaging)v1.0」仕様を承認した。IrDAが米国時間1月8日に明らかにしたもの。

 赤外線は低価格でセキュリティ確保が容易なため,至近距離で1対1の接続を行う場合に有効な技術である。全世界で通用する標準を確立することで,ユーザーは携帯電話機やPDA(携帯情報端末)を使って,支払いに関する個人情報をカード・リーダーやATMなどに高速伝送できる。

 IrFM仕様は販売店などで,クレジット・カード,デビット・カード,ICカード,小切手などを使った無線による決済処理を,その場で行う際に利用される。「既存のインフラを基盤にした仕様が実現したのは,金融関連のデジタル技術を研究開発するコンソーシアム,FSTC(Financial Services Technology Consortium)が,同仕様の開発を行うワーキング・グループと初期段階から連携したため」とIrDAでは説明する。

 IrDA,エグゼクティブ・ディレクタの Ron Brown氏は,「韓国のHarex InfoTechは過去9カ月間,ワーキング・グループが開発した基本的な実用モデルの商用化に取り組み,大きな成功を収めている。また,韓国情報通信省(MIC)は昨年の12月24日,国内の無線支払い標準はすべて,IrFM v1.0に準拠する必要があると明らかにしている」と述べた。また同氏は「2003年には,日本,欧州,米国でも試験的な導入が開始される」とした。

 IrFM仕様はすでに一般に公開されており,IrDAのWWWサイトから無償で入手できる。

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