ルクセンブルクSES GLOBAL傘下のSES Astra社は,欧州の60社を越える業界パートナと欧州における高精細テレビ(HDTV)の導入に向けた技術とタイムテーブルに関して合意に達した。同社が現地時間6月21日に発表した。

 今回の合意は,SES Astra社の衛星システム「ASTRA Satellite System」を経由したHDTVサービスに関するもの。欧州市場における新しい技術の普及とASTRA Satellite Systemを利用したより多くのHDTVサービスが提供されることを狙っている。

 SES ASTRAと業界パートナは,欧州の初期市場における断片化を回避するため, MPEG-2,MPEG-4 AVC標準などをベースとするHDVT放送向け最低限の技術仕様に関して合意に達した。合意した技術仕様の一部には,HDTV対応ディスプレイが垂直720画素以上で720P50と1080i25のスキャン形式に対応させることも含まれている。また,HD対応TVには「HDTV」というラベルが貼られるようになる。

 HDTVは,米国,日本などですでに実用化されている。すでに600万を超える世帯がHDTV放送を受信しており,すべての大手放送局がHDTVサービスを提供している。これまで,欧州はHDTVサービスの導入に関して米国などの後を追ってきた。欧州最初のHDTV放送は,チャネル「EURO 1080」が2004年1月1日から提供しており,ASTRIA社の東経19.2度衛星を利用している。

 SES ASTRA社の社長兼CEOのFerdinand Kayser氏は「ある調査会社は,数年の間に,異なる欧州諸国間で数千万台のHD対応テレビが導入されると予測している。最低限の技術仕様とオープン・スタンダードの採用に合意することによって,SES ASTRAと放送業界,ハードウエア業界のパートナは,早ければ同年中にHDTVサービスの提供が開始できることを狙っている」と述べている。

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