米Motorolaは,PowerPCコアを搭載するMPC5200プロセサ向けに,評価ボード,開発ツールなど包括的なLinuxサポートを提供する。同社が米国時間11月10日に発表した。同社は,Linuxオペレーティング・システム上で動作するアプリケーション開発向けにハードウエアとソフトウエアを組み合わせたパッケージを提供する。

 Motorola傘下のMetrowerksが提供するLite5200評価ボード向けBSP(Board Support Package)は,「Metrowerks Linux Platform Creation Suite(PCS)」,「Metrowerks Code Warrior Integrated Development Environment(IDE)」と動作する。これらツールは,MPC5200プロセサを搭載した組み込み型Linuxアプリケーションの作成を支援する。

 PCSにより,Linuxオペレーティング・システムを組み込み型デバイスに向けに容易にカスタマイズできる。設計者は,組み込み型Linux環境向けにアプリケーション開発ツールとしてCodeWarrior IDEを利用できる。IDEにより,MPC5200ベースのプロジェクトに関して生産性が高まるとともに,開発時間の短縮が可能になる。

 MPC5200は,PowerPCコアを搭載する760MIPSの低電力プロセサ。Ethernet,USB,ATA,I2S,I2C,SPI,シリアル,1850,CAN(Controller Area Network)に対応。DDR(Double Data Rate)メモリー,FPU(浮動小数点数演算装置)を組み込んでいる。

 MPC5200プロセサは現在サンプル出荷中。1万個ロット時の推定小売価格は22.50ドル。Lite5200 Evaluation Board(EVB)キットは995ドル。フラッシュ・メモリー16Mバイト,64MバイトのSDRAM,Ethernet,USB,PCI,シリアルI2C,CANインタフェースを搭載する。

 Lite5200 EVB向けLinux BSPは,Linux Kernel 2.4.21,Ethernet,PCI,I2C,シリアル,CAN,フラッシュ・ファイルの出入力に対応する。Linux向けPCS Version 3.0,CodeWarrior Development Studio,PowerPC ISA,Embedded Linuxは,Metrowerksから提供される。PCS 3.0は,1ライセンスにごとに6240ドル。CodeWarrior for Linuxのシングル・シートのライセンスは3114ドル。これらの価格には,1年間のメインテナンス・サポートが付属する。

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