米MontaVista Softwareは米国時間8月21日,顧客に対して米SCO Groupの脅威に屈しないよう呼びかけるとともに,SCO社のLinux攻撃を非難する声明を発表した。

 「SCO社の米IBMに対する訴訟は,いかなる現実的な意味も持たない。したがって,当社製Linuxディストリビューション向けの組み込みアプリケーションを開発している企業や,Linux搭載機器ユーザーにはほとんど,あるいはまったく関係のないことだ」(MontaVista社)

 SCO社は今年3月に「IBM社がLinux事業を推進するためにUNIXソフトウエアのライセンスを不正利用した」として,IBM社を提訴し,「Linuxの使用に関する法的責任が商用ユーザーにまで及ぶ可能性がある」との警告をLinuxベンダーやユーザー各社に送付した。7月21日にはLinuxユーザーに向けに「Linux利用の合法性を認める」ライセンス・プランを発表。同ライセンスを購入しない企業に対しては,訴訟の可能性を示唆している。SCO社は8月11日に,同ライセンスに関してFortune 500企業の1社と最初の契約を締結したことを明らかにした。

 MontaVista社によると,SCO社は8月5日にデジタル家電向けLinux関連団体CE Linux Forum(CELF)との会議を行ったのち,組み込みLinuxもライセンス対象に含める方針を明らかにした。組み込みLinuxの導入について,1コピー当たり32ドルのロイヤリティを要求しているという。

 また,SCO社は8月18日,ラスベガスで開催したフォーラムで,同社がLinuxに不正流用されたと主張している問題のコードを公開した。「フォーラムに参加したドイツ人記者によると,そのコードはBSDライセンスのもとで無償配布が認められており,SCO社自身が古い16ビットLinuxの一部として配布している」(MontaVista社)という。

 MontaVista社は,主に以下の3つの内容を指摘し,SCO社の言い分に異論を投げかけている。

・オープン・ソース・コミュニティなどが再三述べているように,SCO社は同社が主張するLinuxユーザーの著作権侵害の例を1つとして明示していない

・SCO社は,同社のWebサイトから長期にわたって(少なくとも2003年7月下旬まで),GPLライセンスのもとでLinuxカーネルを配布していた。

・ユーザーは著作物を複製したり再配布するためにライセンスを取得しなければならないが,使用するためにライセンスを購入する必要はない。同様の例として,出版物を読んだり,音楽を演奏するためにライセンス料は支払わない。

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