米国では,携帯電話機買い替えの際に,事業者に関わらず同一番号を保持できる番号ポータビリティ制度(LNP:Local Number Portability)がまもなく実現する。これを踏まえて米Gartnerは,「2004年半ばには,米連邦通信委員会(FCC)が有線―無線のLNPを義務付けるだろう。そうなれば,米通信業界をゆるがす大異変となる」とする予測分析を,米国時間8月27日に発表した。

 有線―無線のLNPが実現した場合,利用者は固定電話から携帯電話に切り替えるときに,同じ番号を引き続き使うことができる。現在,約10%の有線電話利用者が「番号が保持できるのであれば,有線から無線に切り替える」としている。

 Gartner社リサーチ部門バイス・プレジデントのRon Cowles氏は,「有線―無線のLNPは,携帯電話間のLNPよりも,はるかに劇的な変化を生み出す」と語る。「マーケティング戦略が根底から覆され,顧客の電話パターンや地域/州/連邦レベルの規制,料金や製品構成などががらりと変わってしまう。さらに,通信の品質やセキュリテイの面でも問題が生じるだろう」(同氏)

 長期的にみて,有線/無線サービスの両方を運営する通信業者が成功を手にすることができる。提携パートナを持たない無線事業者は,提携パートナを持つ事業者と張り合うことが困難になり,有線事業者と合併するか事業を撤退しなければならなくなるだろう。

 「有線―無線のLNPは,主に一般大衆市場に影響する。ただし,無線通信範囲やQoS(Quality of Service)などの問題が解決するまでは,企業市場が大きな動きをみせることはないだろう」(Gartner社リサーチ部門バイス・プレジデントのAlex Winogradoff氏)

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