米National Semiconductor社は,同社が2月に実行を開始したコスト構造の合理化の戦略的計画が順調に進んでいることを米国時間5月21日に発表した。戦略的計画の一環として,収益性の向上とコスト削減を狙って,同社のInformation Appliance事業部門の売却,携帯電話向けベースバンド事業部門の閉鎖,従業員340人の解雇を行なう。同社は,四半期につきおよそ3000万ドル,年間およそ1億2000万ドルの経費節減を狙っている。

 計画の一部として,同社は,「Geode」プロセサを取り扱うInformation Appliance(IA)事業部門の売却を予定している。携帯電話向けベースバンド事業部門に関しては,直ちに閉鎖すると同日発表している。両部門からの売上高は,同社全体の5%未満だった。

 これら事業部門の売却と閉鎖から,目標の3000万ドルのうちの1600万ドルのコスト削減を見込んでいる。売却先が決定するまで,同社は両部門の運営と顧客サポートを継続する。

 また,企業全体の収益性向上を目的におよそ340人の従業員を解雇を発表した。これらに関わる経費として,5月25日締めの同社第4四半期にはおよそ2500万~3000万ドルの経費が発生する。同社は,第3四半期には,500人を解雇しており,合計して全体の8%に該当する従業員を削減している。

 第3四半期は,目標とする3000万ドルのうち約半分の1500万ドルの削減が達成できた。同日発表した活動により,さらに900~100万ドルの削減を見込んでいる。残りは,IA事業部門の完了により達成されるという。

 同社は,今後の方向性として「電源管理,携帯電源,ディスプレイ,オーディオ,アンプ製品といった収益性が高いアナログ事業の研究開発に優先的に投資を行なって営業利益率を上げていく」としている。

 また,第4四半期の業績の事前予測に関しては変更がない,としている。3月に発表した予測では,収益が前四半期から4~7%の幅,およそ4200万~432万ドル増加すると見込んでいる。第4四半期と通年の決算報告は,6月4日に発表される。

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