米Lucent Technologies社の米Bell Labs(ベル研究所)は,3万件目の特許を取得した。同社が米国時間3月10日に発表した。3万件目に該当するこの記念すべき特許技術は,IPネットワークにおけるサービス品質(QoS)を保証するメカニズムに関するもの。パケット・ベースのネットワークにおける信頼性を電話ネットワークと同レベルに高めるのを支援する。

 1925年に設立されたBell Labsは,トランジスタ,デジタル・イメージングとポータブル・ビデオを可能にしたCCD,インターネットの基盤となったUNIXコンピュータ・オペレーティング・システム,世界でもっとも普及しているC言語,通信衛星,携帯テレフォニなどさまざまな発明をしてきた。

 米国特許番号6529499を取得した3万件目の特許は,「IPネットワークを介してサービス品質を提供する方法」と名付けられている。最近までIPベースのネットワークは,データ通信にベスト・エフォート型のサービスを導入していたが,公衆交換電話網(PSTN)で必要とされるレベルの品質は提供できなかった。同技術は,IPネットワークにおけるQoSを保証するためのメカニズムに関わるもの。これは,送信者と受信者間の情報の流れが途切れない仮想チャネルを確立することによって達成する。

 例えばユーザーが,音声通話をするために新しい接続を要求すると,接続リソース・マネージャ(CRM)アプリケーションは,リクエストを実行するために必要なリソースが十分に仮想チャネルにあるかどうかを確認する。リソースが十分にあった場合には,新しい接続が許可され,損失と遅れが制限された継続的な通信が保証される。十分なリソースがなかった場合には,リクエストは拒否される。

 前年,Lucent Technologies社は,コンピュータ科学,数学,物質科学,ネットワーキングなどの幅広い分野において,米国特許をおよそ700件取得している。近頃取得した特許には,有機半導体による柔軟な電子ディスプレイ,ソフトからバグを削除するツール,光信号を変調させてネットワーク速度を向上させるマイクロマシン・デバイス,インターネット上でサービス品質を改善するためのアルゴリズム,次世代通信コンポーネント向けの経済効率に優れた原料などがある。

 現在,Bell Labsは,平均して1日に2つの特許を取得している。MITの「Technology Review」誌は,保有特許数とポートフォリオの両方を考慮して,過去2年に渡りBell Labsの技術力が通信業界において第1位だと評価している。

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