米Narad Networks社と,同社の日本におけるディストリビューション・パートナであるシンクレイヤ社は,Narad社のビジネス・ブロードバンド・ソリューションの初のフィールド実験を日本で行う。両社が3月6日に発表した。この実験は,名古屋を拠点とするスターキャット・ケーブルネットワークとともに行われる。同社は,フィールド実験を経て,名古屋の中小企業に向けて同ソリューションの配備拡張を予定している。
実験では,スターキャットが保有する既存のHFC(hybrid fiber coax)網を使って高速インターネット・アクセスと30Mビット/秒のビデオ・ストリームなどを顧客に提供する。スターキャットは,28万8000の加入者ベースを抱えており,そのうち2万6000の加入者がインターネットに接続している。同社のケーブルは,ほぼ61万世帯を網羅できる地域に配備されている。
同実験では,スターキャットのネットワークに「Narad's Broadband Access Network」(NBAN)ハードウエア,「Narad's Services Delivery Platform」(NSFP)ソフトウエア技術などを設置する。NBANは,高度なHFCブロードバンド・アクセス・ソリューション。現状のケーブル・サービスに影響を与えることなく,CATVで使用していない周波数860MHzを越える帯域を有効利用する。ソフトウエア・スイートのNSDPは,ケーブル事業者によるブロードバンドIP製品の作成と管理を容易にする。
Narad社の技術により,ケーブル事業者は既存のHFC網を使って低価格な音声,データ,ビデオ・サービスをSMB,移動体通信事業者,企業顧客,学校,自治体などに提供できる。同社のブロードバンド・ソリューションは段階ごとに実装され,装置は,ノードとサービス提供を受ける企業顧客の間に直接関わるプラントの部分だけに追加される。
「Naradは,ケーブル事業者が保有する既存のネットワークへの影響を最低限に抑えながらブロードバンドIPサービスをケーブル事業者に提供する。シンクレアとスターキャットとの協調を通じて,コスト効率が良いビジネス・ブロードバンド技術により日本市場に参入が可能になった。現在の経済状況の中では,企業は常に資本支出を抑えながら新しい収益をもたらす方法を模索している」(Narad社のCEOのChuck Kaplan氏)。
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