有線ブロードネットワークス(usen)が2002年中に開始する予定だった新サービスの開始を,延期することが明らかになった。光ファイバと同軸ケーブルを組み合わせたHFC(hybrid fiber coax)網を使う最大30Mビット/秒のサービスである。HFCサービスの提供に向けてusenは,7月に第一種電気通信事業許可を取得していた。

 HFCサービスの延期の理由をusenは,「FTTH(fiber to the home)サービスと集合住宅向けのVDSL(very high bit rate digital subscriber line)サービスに,社員のリソースを集中させるため」と説明する。usenは10月から,集合住宅向けインターネット接続事業者(プロバイダ)のパワーバンドと提携し,集合住宅向けに光ファイバとVDSLを組み合わせたサービスを開始している。

 usenは,HFCサービスを急拡大するADSL(asymmetric digital subscriber line)サービスへの対抗策と位置付けていた。同社は最大100Mビット/秒で月6100円という低料金でFTTHサービスを開始したものの,値下げが相次ぐADSLの影響で加入者が伸び悩んだ。そこで,最大30Mビット/秒のHFCサービスをADSL並みの月3000円前後で提供し,ユーザー獲得を狙う計画だった。

 ところが,FTTHサービス自体を10月に集合住宅向けで月3800~4800円,一戸建て向けで月5700円に値下げ。計画していたHFCサービスとの料金差が縮まった。新たにHFC向けに設備投資をしてまで,提供する効果が薄まってしまったわけだ。usenは今のところ,HFCサービスの開始時期を明らかにしていない。

(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション)