米Lexmark Internationalが米Static Control Components(SCC)を著作権侵害および米デジタルミレニアム著作権法(DMCA:Digital Millennium Copyright Act)違反で訴えていた訴訟で,ケンタッキー州東地区米連邦地裁はLexmark社の要求を認める判断を下した。米Lexmark Internationalが米国時間2月27日に明らかにしたもの。

 一般にレーザー・プリンタでは,印刷に使うトナーがなくなった場合,プリンタ・メーカーの純正トナー・カートリッジを購入して交換する必要がある。しかし,さまざまな業者が,使用済みカートリッジにトナーを詰めた“再生カートリッジ”を販売している。再生カートリッジの普及は,純正カートリッジ販売量の減少につながる。プリンタ・メーカーのビジネス・モデルではカートリッジなどの消耗品による利益が重要な位置を占めているので,各メーカーは再生カートリッジに対し危機感を募らせている。

 Lexmark社は,再生カートリッジを自社製プリンタで利用できなくするための技術を導入したが,それに対しSCC社はLexmark社製レーザー・プリンタ「T520/522」「T620/622」で再生カートリッジを利用可能とするためのLSI「Smartek」を販売した。

 Lexmark社は2003年12月,Smartekが同社製ソフトウエアの著作権を侵害しているとして提訴した。これを受け裁判所は,Smartekの販売/流通の停止を命じる仮処分をSCC社に言い渡した。「“競争には公共政策が有利に働く”とのSCC社の主張は受け入れられる。しかしこの一般原則は,あくまでも合法的な競争に対してのみ有効だ。競争の名のもとに,公共政策が著作権侵害やDMCA違反を認めることは決してない」(ケンタッキー州東地区米連邦地裁裁判官のKarl Forester氏)

 Lexmark社顧問弁護士のVincent Cole氏は,「裁判所の判断にとても満足している」とコメントを出している。「当社は毎年研究/開発に数億ドルを費やし,最高の技術と優れたサービス/サポートを顧客に提供しようとしている。当社のプリンティング技術やサービスは当社の特徴であり,ライバル会社との差別化に必要な知的財産を積極的に守っていく」(同氏)

◎関連記事
米レックスマークの2002年Q3決算,消耗品主軸のビジネス・モデルでEPSが33%増加
米Dellが米Lexmarkと提携,2003年前半にプリンタ市場に参入
明暗が分かれるプリンタ市場,多機能プリンタの出荷台数は98%増だがインクジェットは5.8%減

[発表資料へ]