米Xybernautは,「当社のウエアラブル・コンピュータはパーキンソン病患者の身体機能改善や生活様式向上に役立つ」とする発表を米国時間2月27日,行った。学術機関,医療機関,政府機関,民間企業の専門家からなるチームが数カ国で実施したプロジェクト「PARREHA Project」で同社のウエアラブル・コンピュータを使用したところ,パーキンソン病患者の筋肉協応,歩行などの運動,位置意識に改善がみられたという。

 PARREHA Projectは,英Oxford Computer Consultantsが主体となって実施。Xybernaut社のほか,フランス,ドイツ,ギリシア,イタリア,スペイン,英国の研究者が共同で設立したパーキンソン病研究のコンソーシアムPARREHA Consortiumのメンバー団体が参加した。

 PARREHA Projectの第1段階では,どのような高性能コンピューティング技術がパーキンソン病患者にとって役立つかを判断。筋肉協応と生活様式の向上に焦点を当てた。次の段階では,モバイル・コンピューティング技術を用いたベスト・プラクティスの確立によって患者を支援することに目的をおいた。

 同プロジェクトでは当初,ノート・パソコンを使用していたが,すぐに扱いが面倒であることが分かり,代わりにXybernaut社のウエアラブル・コンピュータ「Mobile Assistant」5台を購入した。その結果,筋肉協応と,特に「立つ」「座る」「歩く」といった運動で大いに改善がみられたという。

 「Xybernaut社の製品はユーザーが身につけるように設計されている。また,Mobile Assistantはパソコンの計算能力を完備しており,非常に精巧で柔軟性に優れている」(Oxford Computer Consultants社のReynold Greenlaw氏)

 ちなみに米National Parkinson Foundationの調査によると,現在150万人以上の米国人がパーキンソン病を患っているという。60才以上の場合,10%がパーキンソン病患者である。また,PARREHA Projectの調査では,ドイツのパーキンソン病患者が約20万人にのぼることが明らかになった。「ウエアラブル・コンピュータの導入は,こうした患者の大多数に恩恵を与えるだろう」(PARREHA Consortium)

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