任天堂の米国法人Nintendo of Americaが米国時間2月14日に,米国外での知的財産侵害行為への対策を強化するよう米通商代表部に求めていることを明らかにした。同社は“知的財産侵害の被害が深刻な国”として,中国,パラグアイ,メキシコを挙げている。

 Nintendo of America社によると,海賊版によって同社が2002年に失った収入は約6億5000万ドルにのぼるという。

 「中国は海賊版カートリッジ型ビデオ・ゲームの製造が最も盛んな国だ。パラグアイは西半球向けの海賊版流出で,主要な積載ポイントとなっている。また当社はメキシコと,当社の商標『Game Boy』の侵害に関して10年も法廷で争っている」(Nintendo of America社ディレクタのJodi Daugherty氏)

 同社は中国政府に,知的財産侵害や海賊版に対して刑事訴追を行い,罰則を与えるよう求めている。同社は昨年,中国の135カ所におよぶ販売店と製造工場から100万点近い模造品を押収した。そのほとんどが広東省で発見されており,欧州,中南米,北米に輸出する予定の製品も多数含まれていたという。

 ちなみにWashington Post誌やCNNは,海賊版の製造や販売が国際的テロリスト集団「Hezbollah」の活動資金に使われている可能性を指摘。このため,「パラグアイにおける海賊版撲滅は,これまで以上に重要な取り組みとなる」(Nintendo of America社)としている。

 またメキシコでは,ほとんどの都市部で,任天堂ゲームの海賊版が販売されているという。メキシコの法務局は2カ月前に,マンサニージョで2万点におよぶ海賊版の「Game Boy Advance」用カートリッジ型ビデオ・ゲームを没収した。

 任天堂は上記3国のほか,チリ,EU諸国,香港,韓国,台湾,ベネズエラにおける知的財産権保護の問題について懸念を示している。

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