「ソフトウエアの違法コピー問題が深刻なことは,米Microsoftの頻繁な発表からも明らかだ。Microsoft社は,自社の株主はもちろんソフトウエア業界のためにも,違法コピー撲滅に向けてリーダー的な役割を果たしてほしい」――。英国のセキュリテュ・ソフトウエア・ベンダーBitArts LabsのCEOであるDanny Chapchal氏が英国時間11月5日,Microsoft社の年次総会でこう呼びかけた。

 「最近Microsoft社は,『2001年に使用されたソフトウエアのうち約40%が海賊版である』と発表しているが,この数値は米Business Software Alliance(BSA)による世界の海賊版使用率のデータとも一致している」(同氏)

 またChapchal氏は,「Microsoft社の年間売上高は280億ドルを超えており,違法コピーによる同社の被害額が何十億ドルにものぼることは容易に想像がつく」と指摘した上で,次のように説明する。

 「ソフトウエアの違法コピーは,被害者がいない犯罪だと考えられがちだ。しかし,実際は株主に損害を与えるほか,技術革新の妨げにもなっている。収益がなければ,ソフトウエア会社は新しい技術開発に投資できない。他の業界であれば,売上げの40%をみすみす失うなど到底考えられないはずだ」(同氏)

 さらに同氏は,「ソフトウエア産業が低迷している今こそ,海賊行為に対して強い警告のメッセージを送るべき」と警告を発している。「ソフトウエア会社はおかしなことに,違法コピーができない製品を販売するとユーザーの反感をかうのでは,と心配しているきらいがある。Microsoft社が長期的な視野に立って,毅然とした姿勢で違法コピー撲滅に取り組めば,ソフトウエア・ビジネスの改革が可能になる。それがひいては,低価格で革新的なソフトウエアの開発に寄与し,正当なユーザーに恩恵をもたらすことになる」(同氏)

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