米Sun Microsystemsが,オブジェクト指向技術の標準化を進めるObject Management Group(OMG)のModel Driven Architecture(MDA)に対応した一連のモジュールを,NetBeansオープン・ソース・プロジェクトに提供した。Sun社が米国時間5月7日に明らかにしたもの。「これによってNetBeansは,この種のプラットフォームの中で初めてMDAに対応することになる」(Sun社)

 MDAとは,オープンな標準規格を使用してシステム開発工程の標準化を図る規格である。データ/アプリケーションの設計,実装,統合,管理など,システム開発のライフサイクル全般にわたる工程の標準化を図る。

 MDAを使うことで,業務の処理や相互作業といった業務ロジックを再利用可能なモデルとして扱えるので,ソフトウエア投資を無駄にしないで済む。「Webサービスのインフラ展開時における各種の変更点をモデルから分離するため,(Webサービスの)導入が簡単に行える」(Sun社)。さらに,「標準規格に準拠しているので,業務の要求条件や発展に応じて,アプリケーション・コンポーネントを容易に交換できる」(同社)。

 これらのモデルでは,プログラムの要素やデータの構造と特性を記述するために,“メタデータ”というデータを利用する。たとえば,顧客データに,氏名,住所,電話番号,顧客番号といったデータを入れる場合,メタデータは各データの形式(“アルファベットと数値のどちらか”,“最大の長さ”,“電話番号や顧客番号の形式はどういうものか”といった情報)を指定することになる。

 Sun社はすでに,Metadata Repository(MDR)モジュールを提供している。これにより,異なるプログラミング言語に対応する際の開発者の作業が容易になるという。さらに,「標準技術ベースのモデリング・ツールと相互運用可能なNetBeansベースのツールも楽に書ける」(同社)という。

 NetBeans MDRは,メタデータの作成/保存/取得に必要なモデルに対応する。「適切な標準技術に対応しているので,NetBeansを使うとモデル・ベースのプログラム構築作業が極めて簡単になる」(Sun社)という。さらに,新たなプログラミング言語に対応する場合にも,手間のかかるAPI作成作業や各言語用のクラス対応作業を行う必要がなくなるという。

 このMDRには,OMGのMeta Object Facility(MOF)と呼ぶメタデータ記述用言語を備える。これは,「Java Metadata Interface」と呼ぶJava言語ベースのメタデータ記述方法で,現在Java Community ProcessでJSR-40として検討を進めている仕様である。なおMDRは,XML Metadata Interchange(XMI)にも対応する。

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