小型メモリー・カード「MultiMediaCard」の標準化団体MultiMediaCard Association(MMCA)が米国時間12月10日に,セキュリティ機能を備えたデジタル・コンテンツ配信,格納,検索のための仕様「Secure MultiMediaCard(SecureMMC)for Content Protection」を承認したと発表した。

 MMCAは100社以上の企業が参加しており,携帯電話機,PDA,MP3プレーヤ,ポータブル・ビデオ・ゲーム機,ノート・パソコン,デジタル・カメラといったモバイル機器でのMultiMediaCard普及を推進している。

 SecureMMC for Content Protectionはフラッシュ・メモリーの標準規格であるMultiMediaCardに完全対応するほか,デジタル・データへのユーザー・アクセスを管理する汎用フレームワークとしての役割を果たす。“Super Distribution”と呼ぶ概念を用いる。また,公開鍵(PKI)ベースのセキュリティ機能を備える。

 “Super Distribution”は,著作権で保護されたコンテンツをユニークな暗号キーで暗号化し,携帯電話機やインターネット,CD-ROM,キオスクなど各種チャネルを通して配信する方式。ユーザーは自由にコンテンツを入手して複製することができるが,暗号キーを含むライセンスがなければ再生することはできない。著作権で保護されたコンテンツとライセンスは,異なるチャネルを介して別々に配信される。ユーザーは所望のチャネルを使ってデジタル・コンテンツ配信サービスを利用することができる。またコンテンツ所有者は,各ユーザーに応じて使用条件やライセンスに制限を設けるなど幅広い管理が行える。

 SecureMMC製品にはソフトウエアの改ざんを防止するアクセス不可能なTRM(Tamper Resistant Module)を組み込む。ライセンスはTRMに格納され,暗号化したコンテンツはアクセス可能なフラッシュ領域に格納される。またSecureMMC製品には暗号エンジンが含まれており,PKIを用いて安全にデータを変換する。

 ちなみに“Super Distribution”概念を用いたSecureMMCは,2000年11月にリリースされたデジタル配信向けの汎用コンテンツ保護インフラ「ケータイdeミュージック」に取り入れられている。三洋電機,日本コロムビア,日立製作所, 富士通,PFUが同規格のコンソーシアム「Keitaide-Music Consortium」を1999年に立ち上げており,すでに40社以上が参加しているという。

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