英EMI Recorded Musicとデジタル・オーディオ/ビデオの著作権管理技術を手がける米BayView Systemsは米国時間9月11日に,EMI社がBayView社の「Duolizer」技術を採用すると発表した。

 BayView社のDuolizerは,音楽レーベルなどが音楽CDの一般販売前に,宣伝用としてメディアなどに提供するデジタル・オーディオ・ファイルに適用する。

 Duolizerはオーディオ・ファイルを二つに分離して管理するところに特徴がある。具体的には「Flexible File」と呼ぶ大きなファイルと,「Secure Stream」と呼ぶ小さなファイルに分離する。音楽レーベルなどのコンテンツ・オーナーは前者を自由に配布する(例えばダウンロード,ストリーミング,CD,電子メール添付,ピア・ツー・ピア・ネットワークなどの媒体を介して)。後者のSecure Streamファイルは音楽レーベルのサーバーに格納しておく。

 正規のユーザーがこのファイルを聴く際には,Flexible Fileを入手したのち,小さなSecure Streamファイルを音楽レーベルのサーバーからストリーミングで受け取る。二つのファイルは再生中にだけ結合し,再生後はまた分離する。再生後は大きなファイルだけがユーザーの機器に残ることになる。なお音楽プレーヤ・ソフトはMP3プレーヤやWindows Media Player,Real Playerなど通常のプレーヤが利用できる。

 「この技術を利用することでコンテンツ・オーナーの知らないところで,ファイルが再生産/再配布されるのを防ぐ」(両社)。

 オーディオの音質は,「放送局が楽曲の放送に利用できるもの」(両社)という。「Duolizer技術が施されたファイルは,プロモーションに利用できる。EMI社などのコンテンツ所有者が発売前の新曲をメディアや小売店などに提供する際に,一般に流出してしまうというリスクを回避できる」(両社)。

 EMI社は,今後リリースを予定するカントリー歌手Garth Brooksの楽曲などのプロモーションに,この技術を使っていく予定である。

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