「破産法申請の可能性が高い」と発表しているISP大手の米PSINetが米国時間4月17日に,2000年第4四半期(10~12月期)と通年の決算を発表した。赤字額は当期だけでおよそ32億ドル,通年では約50億ドルにのぼり,改めて「破産法適用のもとで,再建を目指すことになる可能性も高い」とした。

 第4四半期の売上高は2億9110万ドル。前年同期は1億6480万ドル,前期は3億540万ドルだった。純損失は前年同期の2億2350万ドルから当期は31億9890万ドルに膨れ上がった。前期は同14億ドルを計上していた。希薄化後の1株当たり損失は,16ドル83セント。前年同期は1ドル63セント,前期は7ドル34セントの損失を計上していた。

 EBITDA(利子,税金,減価償却費控除前利益)は9230万ドルの損失で,前期に計上していた2560万ドルの損失からさらに拡大した。前年同期は2510万ドルの赤字だった。

 通年の決算は,売上高が9億9550万ドル。前年は5億3410万ドルだった。収支は49億6510万ドルの赤字で,前年の赤字額4億1620万ドルから10倍以上に膨れ上がった。希薄化後の1株当たり損失は28ドル92セントで,前年の3ドル49セントから大きく悪化した。EBITDAは1億7310万ドルの損失。前年は3250万ドルの損失を計上していた。

 2001年4月10日時点のキャッシュ・バランスは約5億2000万ドル。このうち2700万ドルは債権者などへの返済に充当されるという。

 「4月3日に売却したPSINet Transaction Solutions社の受け取り分を含めても、資金繰りが十分でない状態である。現在,企業の一部または全体を売却することも含め,財務面および戦略面から可能性を探っている。方向性としては,連邦破産法のもとで再建を目指す可能性もある」(PSINet社)。

 PSINet社は2000年末の時点で,会計検査の結果から「Form 10-K」を申請していた。2001年4月に入り,「破産法申請の可能性が高い」と発表したのをはじめ,傘下のPSINet Transaction Solutions社やDecan Groupe社の所有権をすべて売却するなど,資金繰りや本体事業の存続について極めて深刻な状況にあることを明らかにしていた。

 PSINet社は世界27カ国900都市で事業を展開してきたISPの大手企業。WWWホスティング,電子商取引向けインフラ関連,エンド・ツー・エンドのITソリューション,法人および個人向けのインターネット・サービスなどを提供している。日本法人ピーエスアイネット株式会社は平成5年に設立し,東京の本社のほか5カ所に事業所を持つ。

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