「米国企業がアウトソーシング・サービスに費やす費用は2000年の55億ドルの水準から2005年には176億ドル規模へと飛躍的に増大する」。米International Data Corporation(IDC)が米国時間2月28日に調査結果を発表した。

 アウトソーシング・サービスを利用する理由として,従来は主に「コストを抑えるため」を挙げる企業が多かったが,ここのところ「優れた技術を持つ有能な人材を獲得したい」というニーズが急速に増大し,主流になりつつあるという。

 「熟練したIT技術者を探し出して雇い,さらに繋ぎ止めておくことは非常に難しい。米国企業は高い技術力を持ち,英語の話せる高学歴の人材を海外に求め始めている。こうした企業ではプロジェクトごと海外に“丸投げ”し,国内での人材不足を補っている」(IDCリサーチ・マネージャーのCynthia Doyle氏)。

 かつてはプログラミング,コーディング,ソフトウエア開発などといった分野での海外アウトソーシング・サービスの利用が多かった。サービスを提供する海外のIT企業は最新技術に対応できるよう常に技術力を高めており,現在は電子商取引向けソリューション開発なども提供できる水準である,とDoyle氏は指摘する。

 IDCは,アプリケーション開発のカテゴリが最も大きく伸びるとみており,2005年にはこうした分野での海外アウトソーシング・サービスが56億ドルを超える規模に達するという。これは,2000年の海外アウトソーシング・サービス市場全体を上回る規模である。

 アウトソーシング先を国別でみると,インドが最大のシェアを占めて首位に立つ。カナダやメキシコ,カリブ海地域,南アフリカ,イスラエル,アイルランド,東欧地域なども有力であるとしている。

 Doyle氏は,米国以外の国や地域が米国からIT関連のアウトソーシング事業を受注する要件として,「国民が高い英語力を持っていること」「高い技術力を持つ人材が豊富であること」「インフラが整備されていること」「欧米流ビジネスに精通していること」の4点を挙げている。「これまでのところ,この4つの条件にすべて当てはまるのはインドしかない」(Doyle氏)。

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