米WatchGuard Technologiesは米国時間4月25日,多機能のセキュリティ・アプライアンス製品「Firebox X Peak」シリーズを発表した(関連記事)。ファイアウオールやVPN,ウイルス対策,IPS(侵入防御システム)といった複数の機能を備える。同シリーズは,2004年から販売されている「Firebox X」シリーズの最上位機種にあたる(関連記事)。「パフォーマンスだけではなくセキュリティ機能も大幅に強化した」(マーケティング担当副社長のJohn Stuckey氏)

 Firebox X Peakシリーズは,ワールドワイドで同時に発表された。国内では4月26日,日本法人ウォッチガード・テクノロジージャパンが発表会を開催した。発表会後,WatchGuard TechnologiesのStuckey副社長はIT Proの取材に対して,Firebox X Peakシリーズのメリットを強調した(写真)。

 Firebox X PeakシリーズはX5000/X6000/X8000の3種類。従来の製品シリーズであるX500~X2500との大きな違いは,ギガ・ビットに対応したことやスループットを向上させたこと。例えばX8000では,10ポートのうち3ポートがギガ・ビットに対応している。また,最大スループットは1Gビット/秒であるという。

 加えて,Firebox X Peakシリーズでは新OS(ファームウエア)「Fireware Pro」を採用して,セキュリティ機能を強化したという。従来機種のOS「WFS(WatchGuard Firebox System)」でも,シグネチャ(パターンファイル)なしのアノマリ(異常検知)ベースでウイルスや攻撃などを遮断できたが,Fireware ProではDoS(サービス妨害)攻撃にも対応できるようにした。

 また,管理者がきめ細かくポリシーを設定できるようになった。例えば,「通常は実行形式ファイルをダウンロードさせないが,microsoft.comのサイトからはダウンロード可能にする」といったポリシーを設定できる。従来のOSでは,このような例外を設定できなかった。

 Fireware Pro上で利用できる「ゲートウェイ・アンチウイルスと侵入阻止サービス(Gateway AntiVirus/IPS)」も今回発表した。これは,同社が提供するシグネチャに基づいて,ウイルスや攻撃を検出駆除する機能のこと。「アノマリ・ベースで多くのウイルスや攻撃を遮断できるが100%ではない。このサービスはFireware Proの機能を補完するものだ」(Stuckey氏)。シグネチャに基づいてウイルスを検出するオプション機能(サービス)は以前からあったが,侵入検知についてはなかった。今回発表されたサービスでは,ウイルスと侵入(攻撃)それぞれのシグネチャが提供される。

 なお,従来のX500~X2500にも,新OSであるFireware Proを有償でインストールできる。Fireware Proをインストールしていれば,Gateway AntiVirus/IPSも利用可能。

 Fireware ProとGateway AntiVirus/IPSは,国内では4月26日から出荷開始。アプライアンスであるFirebox X Peakシリーズは5月4日に出荷開始予定。Firebox X Peakシリーズの価格は,X5000が143万9000円,X6000が191万9000円,X8000が239万9000円。

 Fireware Proへのアップグレードは,X500が7万2000円,X1000が14万4000円,X2500が18万1000円など。今回発表されたFirebox X PeakシリーズにはFireware Proは標準搭載されている。また,Gateway AntiVirus/IPSは,1年間のシグネチャ更新料込みで,X500が37万1000円,X1000が39万円,X2500が44万9000円。

(勝村 幸博=IT Pro)