米Hewlett-Packard(HP)が,これまでUNIXサーバーとPCサーバーで分かれていたサーバーの製品系列を,Itaniumプロセサ搭載システムでは一本化する方針であることを5月23日に明らかにした。来日中のItanium Processor Family Computer Systemsマーケティング・ディレクタのJim Carlson氏が,都内で開かれた記者会見の席上で語ったもの。
HP社はこれまで,RA-RISCプロセサを載せたUNIXサーバーを「hp 9000」,x86プロセサを使うPCサーバーを「netserver」と呼び,ブランドを二つに分けていた。Itanium搭載機では,Windows,Linux,hp-ux(HP社のUNIX)の三つのOSに対応するが,一つのブランド名のもとにまとめる。
ちなみにItaniumのベースとなっているIA-64はもともとHP社と米Intelが共同開発したアーキテクチャだが,HP社のItanium搭載機の市場への投入は他社と横並びの6月になる見込みである(「Itanium搭載機がいよいよ6月登場へ,本格普及は次期“McKinley”待ち」)。またWindowsは「64-bit Windows Advanced Server Limited Edition」,hp-uxはhp-ux 11iが載ることになる。
Carlson氏は,今後もPA-RISCへの対応を続けるとしながらも,「3代目ItaniumとなるMadison(開発コード名)くらいからは,事業の軸足がPA-RISCからIA-64に移る」との見通しも明らかにした。Madisonは,初代Itanium(開発コード名:Merced),McKinley(開発コード名)に次ぐIA-64アーキテクチャのマイクロプロセサである。
Itanium搭載のサーバーに関しては,米国の調査会社であるAberdeen Groupが「2005年までに売上高ベースでサーバー市場全体の42%を占める」との予測を明らかにしている。Intel社の日本法人インテルも,「2002年に立ち上がり,2003年以降にぐんと拡大する」(eマーケティング本部 平野浩介氏)とみている。つまり2002年に登場するMcKinleyで市場が立ち上がり,3代目のMadisonで火がつくというわけだ。
なおMcKinleyは,初代Itaniumの内蔵キャッシュやシステム・バスに改良を加えた64ビット・マイクロプロセサ。7段のパイプライン構成を採り,3階層のキャッシュを備える。0.18μmルールの製造技術を使い,6層のメタル(アルミニウム)配線で2億1400万のトランジスタを1チップに集積する。IA-64プロセサを搭載した量産システムの向けプロセサという位置付けである。業界では「IA-64の本命」との期待する向きが多い。Madisonの内部構造の詳細は明らかになっていないが,0.13μmのCMOS技術で製造される。
(横田 英史=IT Pro編集長)
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