「クラウド時代のネットワーク最適化Forum 2017」のソリューション講演に登壇したライムライト・ネットワークス・ジャパンの加藤久雄氏は、調査結果や事例を交えて、CDN(コンテンツ配信ネットワーク)サービスの仕組みや効果を解説した。

ライムライト・ネットワークス・ジャパン ソリューションエンジニアリングマネジャー 加藤 久雄 氏
ライムライト・ネットワークス・ジャパン ソリューションエンジニアリングマネジャー 加藤 久雄 氏
撮影:平瀬 拓
[画像のクリックで拡大表示]

 講演の冒頭で加藤氏は、日本、米国、英国、フランス、ドイツ、韓国、インドの7カ国を対象にした、デジタルコンテンツのダウンロードに関する調査結果を紹介。それによると、「書籍や新聞、雑誌、音楽、ゲームを、ダウンロード販売ではなくハードの形で購入する」と回答したユーザーの割合は、7カ国中で日本が最も大きかったという。また、日本のユーザーの40%が、「ダウンロードが終わるまでに時間がかかりすぎることに一番イライラする」と回答した。これも7カ国中で最大となっている。

 加藤氏は「日本でデジタルコンテンツを配信する企業にとっては、ユーザーのダウンロードは大切なビジネスチャンスであり、そこで待たせると評判を落としかねない」と指摘する。実際、この調査でも、日本のユーザーの39%が「ダウンロードに問題が起きた場合、コンテンツオーナーの責任だと思う」と回答している。こうした課題を解決するのが、CDNサービスである。

 同社は、グローバルでCDNサービスを提供する企業の1つ。世界最大規模のプライベートネットワークにより、世界の主要都市40カ所以上で80カ所以上の配信ポイントを提供している。加藤氏は、CDNサービス選定にあたっては、スループット(処理能力)、アベイラビリティ(可用性)、レスポンスタイム(応答時間)の3つが重要だと指摘する。

 同社のサービスの特徴は、独自のテクノロジーによって、キャッシュのヒット率を上げていること。これによって、スループットやレスポンスタイムを向上させている。マーケティングキャンペーンやソフトウエアアップデートのリリース、突然のニュース掲載などで、短時間に大量のリクエストが発生しても、安定した配信を持続できるという。

NTTドコモがファームウエア更新に活用

 加藤氏は、同社のサービスのユーザー企業として、NTTドコモを紹介した。NTTドコモは以前、自社で構築したシステムで、スマートフォンのファームウエアを更新するサービスを提供していたが、Android OSの機能追加やセキュリティ強化などのために、更新するファイルサイズが肥大化、配信頻度も増えていた。利用者の多い端末では配信完了までに相当の期間を要することが課題になっていた。これを解決するためにライムライト・ネットワークスのCDNサービスを導入した。

 採用の決め手は、ライムライト・ネットワークス独自の集中型アーキテクチャーだったという。NTTドコモは、将来的な利用者やファイル容量の増加にも柔軟に対応できる配信基盤が実現できたとしており、今後は、セキュリティパッチの配信にもライムライト・ネットワークスのCDNサービスを活用する計画という。

この記事に関連する資料