前回に続き、「リーンPR」を実践しているシックス・アパートの広報 マネージャー壽(ことぶき)かおり氏に聞きます。今回はPR活動計画の実行から改善までの流れを整理しました。

シックス・アパート 広報 マネージャー、シックス・アパートブログ編集長 壽(ことぶき)かおり氏
シックス・アパート 広報 マネージャー、シックス・アパートブログ編集長 壽(ことぶき)かおり氏
(撮影:松本 敏明)
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実験場としてのオウンドメディア運営、外部サイトへの展開

 シックス・アパートの広報の特徴は、ターゲット層(ウェブマーケター)支援のカテゴリー認知、つまり文脈作りを重視し、以下の四つのテーマに沿った活動をしています。

(1)「Six Apartブログ」「広報ブログ」からなるオウンドメディア運営
(2)「オウンドメディア勉強会」
(3)製品PR
(4)同社が独自にノウハウとして蓄積してきた働き方PR

 特徴的なのはこれらが巧みに連動している点です。そして会社や製品のアピールではなく、ウェブマーケターに有用な情報を提供して応援することを最優先にしています。

 (1)オウンドメディア運営の一つの柱である「Six Apartブログ」は2012年に始まりました。壽氏が編集長になった2014年に見直してから、読者であるウェブマーケターへの有用な情報提供を第一に、現在0.5人月の稼働をかけ、月平均2本の記事を投稿しています。

 その数少ないコンテンツを拡散させるため、外部メディアにどう記事化されたかや、壽氏自身がどのイベントに登壇したかなどを掲載し、読者の拡大を図っています。そして読者がコメントを続けているかといった個々のアカウント動向を手動で記録し、コンテンツの改善につなげます。

 Six Apartブログは、製品改善のための実験の場という役割も担います。コンテンツ管理システム(CMS)プラットフォーム「Movable Type」に搭載する新機能のβテストの場や、Movable Typeと連携する他社製品を試す実働サイトとして、性能調査やマーケティング施策に役立てています。

 これはユーザー視点で自社製品を試して、ノウハウを蓄積し、社内共有して、より良い製品開発およびマーケティング活動につなげるため。壽氏自身のマーケターとしての学びや成果は、オウンドメディアのコンテンツに仕立てて発信し拡散させています。

 (2)「オウンドメディア勉強会」はFacebookページ上のオンラインの議論と、毎月1回開催するオフライン勉強会の2本立てとしています。勉強会は、毎月テーマを決め、先進的な取り組みをしている勉強会参加者が発表し、参加者同士が質疑応答をする形式です。

 この勉強会のもようはFacebookグループへの投稿のほか、Six Apartブログでの記事化、そして他社メディアへの転載記事による拡散につなげます。オウンドメディア勉強会参加者とは、個々人のアカウントのフォローでつながり、コメントが投稿され続けるようSix Apartブログにフィードバックします。この全ての活動では、オウンドメディア運営者を支援する文脈作りを徹底します。

 (3)「製品PR」では、製品チームと製品ブログが密に連動するよう支援します。広報としては、2018年初頭に控えるMovable Typeのメジャーバージョンアップに向けた社内および関係者の調整に加え、自社イベントの準備、ユーザーグループのイベントサポート、製品ブログの拡散に携わっています。

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