この「日本を復活させるB2Bマーケティング」の連載では、B2Bマーケティングの強化について考えています。これまでマーケティングの手法やデータの活用方法など、いくつかの視点を考察してきました。今回は、マーケティング組織の強化を取り上げます。

 「組織の強化」というものは、古くて新しい問題です。“古くて”というのは、この問題は以前から常に明示的に存在していたからです。そして“新しい”というのは、時代や環境の変化によって組織強化の目的やその解決策が異なってくるからです。

 組織の強化の中でも、今回は組織の融合、特に「マーケティング部門」と「営業部門」の壁の問題について考えます。この2部門は会社の事業拡大や収益の向上という目的は同じですが、時として対立します。

 デジタル技術は、情報交換には非常に便利なものです。しかしこのデジタル技術を組織で有効活用しようと考えたときに、情報交換を阻害する社内組織の対立は大きな問題となります。

 デジタル時代だからこそ、組織の融和・融合が求められています。いくつかの事例を交えながら考えていきましょう。

MAを主導するのはマーケティング部門か営業部門か

 ここ数年でマーケティングに関するデジタルソリューションが安価になり、導入までの手順は以前よりも簡単になりました。例えばマーケティングオートメーション(MA)の導入は、ここ数年で多くの企業に広がった印象があります。

 企業がMAを活用する目的の一つに、新規顧客の開拓があります。展示会やイベントなどで集めた新規顧客の名刺データをMAのデータベースに蓄積するところから始まります。

 そして、MAを使ってアフターフォローのメールを送付し、さらに詳しいWebサイトへの訪問を促します。同時に顧客ごとに、メールの開封履歴や各Webページへのアクセス履歴をデータベースに蓄積します。この繰り返しによって、商品やサービスに興味のある顧客を探していきます。

 ところが問題を抱える組織では、MAの有効活用によって見込み顧客を見つけた後に、トラブルに直面することがあります。

 「せっかく見込み顧客を見つけたのに、営業が案件化しない!」――。

 よくあるケースとして、本社のマーケティング部門が発見した見込み顧客を現場の営業部門に引き継いだときに問題が起ります。

 ここまでの文章では、MAの主体的な利用者を「マーケティング部門」としていました。では、「営業部門」主体でMAを考えるとどうなるでしょうか?組織の壁の問題を明確にするために、あえて考えてみます。

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