この連載では以前、B2B企業にとっての動画の可能性を取り上げたことがあります。このときに挙げたAR(拡張現実)やVR(仮想現実)といった技術を使わなくても、多くのB2B企業は映像をマーケティングで活用しています。
B2Bでの動画の利用は、大きく分けると以下のようなものに分類できるのではないでしょうか。
- 製品の紹介、コマーシャル
- デモンストレーション
- マニュアルの代わり
- 活用事例、導入事例の紹介
- セミナーの記録・再現
今回はその中でも、製品紹介の中でもその新しいコンセプトを紹介する啓蒙動画の事例を見ながら考えてみたいと思います。
HPが公開したサイバーセキュリティに関する動画
今回紹介するのは、PCとプリンティング事業を展開するHP社による「The Wolf」という動画です。日本語字幕版は、こちらで公開されています。
日本でこの動画の注目度は低いようですが、同じ動画の英語版は2017年5月の公開以来、既に18万回以上も再生されています。
この動画でHPは、サイバーセキュリティ対策の重要性を訴えています。動画の終わり近くまで、HPの製品が大きく取り上げられることはありません。それよりも、しっかりとしたサイバーセキュリティ対策を採っていないと、大変なことが起こることを伝えようとしています。
サイバーセキュリティに関する動画としては一般的に、セキュリティ上の課題を指摘していたり、セキュリティ対策ソフトの機能を解説したりするものが考えられます。これに対してThe Wolfは、セキュリティ対策が十分でないときに起こる「事件」を動画で伝えているのです。つまり制作者が訴えたかったのは、しっかりとしたセキュリティ対策を採ることの重要性でした。