マーケティングのコンサルタントをしていると、実に多くの質問をお客様から受けます。その中には、「マーケティングを強化するには、どうしたら一番良いでしょうか?」という質問があります。

一番良い方法は何ですか?

 コンサルタントとしては質問に質問で返してはいけないので、お客様の状況を理解しながら丁寧に答えようとします。もちろん質問を否定することはありません。

 しかし本当は、「一番良いというものはなく、今取れる最善ならありますが」と質問の文章を一部否定しながら返したくなります。マーケティングは時々刻々と変化するものであり、それに合わせてマーケティングの手法も変えないといけないのです。

 では、最善の方法を探すにはどうしたらよいでしょうか。重要なのは最善のマーケティング手法を知ることではなく、継続的にマーケティングを進化させられる「最善の方法を探索する」ことです。

まず現状のマーケティングと営業のプロセスを整理する

 そのためにすべきことは、マーケティングプロセスの整理です。B2Bのマーケティングはお客様との最初のコンタクトから契約までのプロセスが長いことが一般的で、多くの組織や関係者が介在しています。コンピューターが処理するプロセスもあれば、実際の営業訪問のように人が行動するものもあります。

 本社と営業拠点に分かれているようなケースもあるでしょう。関係者が明確になっていないことがあるかもしれません。そのようなときも、正確でなくても構わないのでマーケティングプロセスを書き出してみましょう。

 まずはプロセスの粒度にこだわらずに、思いついたことを書き出してみることが重要です。潜在顧客の名簿集めや最初のコンタクト、フォローアップ、そして契約などのプロセスが並ぶはずです。

重要なのは「対立」ではなく互恵関係

 このようなマーケティングプロセスの図というものは、これまでありそうでなかったものです。これらをきちんと調べようとすると、多くの障害に直面するのも事実です。

 私はこれまで、様々な企業のマーケティングプロセスを書き出す作業を手伝ってきました。多くの場合に直面したのは、マーケティングの判断や実践が属人的になっていることです。

 ここでは属人的になっていることを問題にしたいのではありません。ある部分が属人的なのであれば、そのまま「属人的である」と書きましょう。こうして全体を俯瞰できる資料を作ることが目的です。

 さらには、ルールが明確になっていないことも少なからずあるでしょう。例えば最初の営業訪問の次のフォローをどうするかなどです。

 今回のプロセスの整理は、現状を把握するための活動です。個々の問題にとらわれることなく、まずはルールがないものはルールがないとして、そのまま書き出し続けましょう。

 このような調査をする理由は、マーケティングの全体をまず俯瞰して、そこから大きな改善点を発見するためです。ただし日本の企業では「仕事の調査」という言葉は「仕事の監査」のように受け取られることが多いため、現場が協力的になってくれません。

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