インターネットが便利にしたことは世の中にたくさんありますが、「リサーチを簡単にした」ことは、従来のビジネスのルールをも変えた大きなメリットといえるでしょう。例えば企業の担当者は自社課題を解決するソリューションを探すために、悩みごとを検索窓に打ち込みます。いくつかのソリューションが見つかると(仮にソリューションの一つが“○○○”だとしましょう)、次に「○○○ 評価」と入力して、商品に関する第三者の意見を探します。さらにはそのソリューションを提供する企業の評判を探す行為もします。

 このような行動はBtoCで当たり前のように個々のユーザーが実行していますが、BtoBの現場でも実際に行われています。読者の皆さんにも経験があると思います。

 ある企業の顧客が、検索でその企業や商品、サービスに対するネガティブな評価や評判を目にしたとしましょう。しかし、その場にいない企業の担当者は、「それは正しくない」と反論できません。そして顧客の検索結果に“あなた企業の商品が表示されないこと”は、即ち“存在していないこと”になってしまうのです。

 つまり、自社サイトを充実させるという、新たな顧客となる人を受け入れるための体制整備だけでなく、顧客が知りたいと思ったときに情報にたどり着ける入り口を作っておく必要があるのです。

 今回は顧客を招き入れるための第一歩となるSEM(検索エンジンマーケティング)とソーシャルメディアの関係について解説していきます。

囲碁で人間を負かしたAIが検索を変える

 Google傘下となったDeepMindのAI(人工知能)「AlphaGo」が、世界最強と称される棋士(韓国のイ・セドル九段)を破ったことは大きなニュースとなりました。複雑すぎて現在のコンピュータにはシミュレーションしきれないとされてきた囲碁でAIが勝利を挙げたことは、AIは人間にまだ追いつけないと信じたがっている私たちにショックを与えました。

 AlphaGoがどんなAIなのかについては検索していただくとして、1997年にIBMの「ディープ・ブルー」がチェスの王者(旧ソビエト連邦のガルリ・カスパロフ氏)に勝った際の“膨大な打ち手を演算し続ける(総当り方式)”とは全く違うアプローチを採っています。筆者はGoogleがAlphaGoで「人間を模倣し、自ら学習」したことに、ゲームチェンジャーとしての可能性を見いだしました。

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