世界の広告市場は現在も成長を続けており、インターネット広告がその成長を大きく牽引している――。これは今に始まったことではないし、あえて強調して語るまでもないだろう。

 しかし今後は、このフレーズに多少の言い換えが必要になってくるかもしれない。なぜならば、PCに向けたインターネット広告市場は、これから激しい縮小が予測されているからだ。

 英ZenithOptimedia社が2016年9月中旬に発表した「Advertising Expenditure Forecasts」が、全世界の広告市場が2016年に対前年比4.4%増の5390億ドル(約55兆円)に達すると予測しているのだ。さらに2018年には、5890億ドル(約60兆円)に達するという。

 この数字は、2016年6月時点の予測よりも約4%伸びている。特に米国の広告市場が製薬業界と消費財業界を中心に引き続き活況であることが、全体の数字を押し上げている。この傾向は、今後も続くと見られている。

 インターネット広告では、特にソーシャルメディア広告の伸びが大きく、対前年比で35%増となっている。これは、主にモバイルユーザーに対してリーチする手段としてソーシャルメディア広告が積極的に使われるようになったことが大きい。さらに広告主企業が、FacebookやInstagramなどのインフィード型動画広告(ユーザーのタイムライン上で再生される動画広告)をより多く活用するようになったことも影響しているようだ。

 モバイル向けの広告市場が急激な伸びを見せている一方で、PC向けの広告市場は深刻な状況を迎えている。今後急速な割合で縮小されることが予想されているのだ。

 PC向け広告市場は、2014年から2015年で対前年比0.1%減という縮小の兆しを見せていた。それが今後は、より加速していく。2016年は対前年比0.8%減だが、2017年は2.9%減、そして2018年は7.4%減と年を追って縮小する割合が高まるのだ。

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