一歩先を行くデジタルマーケティング

歴史は繰り返す、「米国企業のデジタルエージェンシー離れ」から見えるもの

2017/07/18 熊村 剛輔=アドビシステムズ

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 “マーケティング”という言葉の中に「デジタル」という要素を数多く含むようになった今、これまでエージェンシーに任せっきりとなっていたマーケティング業務を、企業が自製化するケースが増えてきた。実はこういった傾向は、5年前の2013年に全米広告主協会が公開した「The Rise of the In-House Agency(インハウスエージェンシーの台頭)」と題したリポートでも触れられていた。

 2008年から2013年にかけて、それまで外部のエージェンシーにアウトソースしていた業務を(ハウスエージェンシーへの委託も含めて)内製化する方向に舵を切った企業が急増していたのだ。2013年当時には、全米広告主協会の会員企業の半数以上に当たる56%の企業が、マーケティング関連業務を内製化するようになっていたという。

 これは、マーケティング活動によってもたらされた、いわゆる「ビッグデータ」を自分たちできちんと管理したところから始まる。そして、その分析だけでなく、さらに分析結果を受けて(エージェンシーにアウトソーシングすることによって)時間をかけずに施策を打つようにした結果だ。

 だがそれから、この内製化の流れはいったん停滞した。むしろ、再びエージェンシーに対して業務をアウトソースする流れが活発になっていった。

 米国のデジタルエージェンシーの業界団体であるSoDA(Society of Digital Agencies)が実施した調査によると、「デジタルマーケティング業務にエージェンシーを使っていない」と回答した企業の割合は2015年から2016年にかけて急落し、27%から13%となった。

 ただし以前と異なって、複数のデジタルエージェンシーにデジタルマーケティング業務のアウトソーシングを委託する企業が増えていた。背景にあったのは企業の「リソース不足」である。

 つまり、いったんは内製化に向けてシフトしたものの、内製化のために必要な人材が足りず、結局はエージェンシーへのアウトソーシングに戻ったのだ。

 ところが2017年に入って、再び内製化にシフトする動きが見えつつある。SoDAが2017年6月に発表した「2017-18 Global Digital Outlook」というリポートが、その現状を表現している。

 同リポートでは、「企業のマーケティング予算は増額される上、デジタル方面に配分される割合は高まる。ただしエージェンシーに対する予算は現状維持、もしくは減少に転じる傾向にある」と予測している。

 その背景には、戦略コンサルティングファームなどと協業する企業の増加があるようだ。戦略コンサルティングファームと協業し、デジタルを含めた自社のマーケティング戦略を一通り策定し、「ツールやインフラを整備した上で、施策の実行を内製化するという流れが、今後1〜2年で増えてくる」という見方が示されている。

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