マーケターは、自分たちが行うマーケティング活動に対して、今まで以上に大きなROI(投資対効果)を出すことを求められている。その一方で、ROIを証明することが年々困難になっている。そんな課題がここ数年、特にデジタル領域を中心としたマーケティングの現場でよく語られている。

 2016年3月中旬、米Leapfrog Marketing Instituteが発表した調査結果で、その事実が改めて浮き彫りになった。

 この調査結果では、企業のマーケティング活動における予算配分が2015年から2016年にかけて大きく変わってきたと述べている。その変化とは、これまではメディアをはじめとした顧客接点を中心に考えられていたマーケティング予算の配分が、顧客そのものを中心とした形へとシフトしたというものだ。

 つまり、これまでのような、規模の大きなメディアに集中的に予算を投下するというコミュニケーション展開への比重が減っているという意味だ。顧客の姿を見極め、その顧客に対して最適なメッセージや手段を選んだコミュニケーションを重視する方向に、予算を配分するようになっている。

 背景には、デジタル領域を中心に顧客接点が増加し、それに伴って顧客に対するコミュニケーションの形が多様化していることがある。ところがその一方で、「自分たちの使っているマーケティング予算の何%が、ROIを算出できる状態にあるか」という疑問があがっている。

 こうした疑問に対して、2015年に実施した調査では「(マーケティング予算の)75%以上」という回答が約40%だった。それが2016年は、10%にまで落ち込んでいる。言い換えれば、顧客接点の増加とコミュニケーションの多様化が、結果としてROIの証明を非常に困難にしてしまっているのだ。

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