無線LANが世の中で用いられるようになってから十数年がたちます。無線LANが登場したことにより、ケーブルに縛られなくなりました。そして十数年の間の技術革新により、無線LANは高速化が図られました。最近は短時間に多くのデータが取り扱えるようになり、より快適になりました。

 一方、無線LANが登場した頃からしばしばネットワーク管理者を悩ませてきた問題もあります。無線LANが遅い、あるいはつながらないというものです。例えば、使用場所が無線LANアクセスポイント(AP)からあまりにも遠いと、応答に時間がかかるなど遅く感じられるケースや、ひどくなると利用できなくなるケースがあります。速度は、ノイズや無線LANの混雑状況などにも、大きな影響を受けます。

 こうした問題を把握したり回避したりする際には、無線LAN環境の実測データが役立ちます。そこで今回からは、測定結果を通して無線LANに対する理解を深めていただければと思います。

「サイトサーベイ」で何が見えてくるのか?

 家庭やSOHOでAPを1台だけ使うような場合は当てはまりませんが、無線LANをある程度の規模で構築しようとすると、通常は「サイトサーベイ」と呼ばれる作業が必要となります。グーグルやヤフーでこの言葉を検索すると、無線LANの「事前調査」や「電波調査」のサービスを紹介するWebページがヒットします。

 これらのサービスの説明を見ると、サイトサーベイは、「無線LANを利用する予定の場所で、設置を考えている無線LAN機器が想定通り使えるのかどうかを現地で調べる確認作業」という意味合いで捉えられているようです。本来、無線LANのサイトサーベイは、無線LANの計画や設計などを含んだ幅広い概念を持つものですが、ここではサイトサーベイを「現地で行う確認作業」として話を進めます。

 サイトサーベイのサービス内容は、提供事業者ごとに違いや特色があるようです。しかし、設置予定のアクセスポイントが利用できる範囲(カバレッジ)の調査は、大抵は実施されているはずです。カバレッジの調査とは、具体的にはアクセスポイントからの電波の強さが十分かどうかを調べることです。

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